「のぞき穴、哀愁」MONO

  • テレピアホール L列4番
  • 作・演出 土田英生

2年ぶりのMONO!今回はとある会社のオフィス、の上にあるのぞき穴が(のぞき穴に通じる部屋が)舞台。会社のオフィスというところまでは完全に地続きの世界なんだけど、そこで起こる世界があるような、ないような、でもやっぱりあるような、絶妙なラインを突いてくるところがすごい。

天井裏にいる彼らに、最初はひたすら、なんというしょうもない、という感想しか抱けないのだけど、穴の「むこうがわ」が天井裏に押し寄せてきて、そして「むこうがわ」の人たちの裏も表もある立ち居振る舞いに翻弄されるさまを見て、なんだか哀しい、と思ってしまうあたりがまさに「のぞき穴、哀愁」です。

見ている方は、そんな森村さんの口車に乗ったらだめだよー、もー!とか思うのだけど、彼らは彼らでひとに興味を向けられること、自分が影響力を持てること、にあんなに飢えていたのだなあというのもひしひしと感じられて、あの「穴のむこうにいなきゃだめなんだよ」って台詞はほんと、しんと沁みました…。ほんとなんでもそうなんだよね。私も言ってみれば、穴のむこうばっかり覗き込んでいるようなところがあるものなあ。

少し前の公演に床下を舞台にしたものがあったと記憶しているのですが、そういう舞台設定、土田さんお好きなのかなあ。あるようでない、ないようで、ある舞台ではありますよね。

尾方さん、孤立をしていてもかわいそうすぎない、やっぱり愛嬌のある役者さんなんだよなー。諜報課課長をやってらした森谷ふみさん、きりっとした佇まいもさることながら「いい女ぶって語る」シーンの面白さ、大好きでした。そして土田さんの「空気を読めない」湯河原係長の感じてる孤独ぶり、私も見に覚えあるあるでした(笑)