「オールスターチャンピオンまつり 五右衛門vs轟天」

劇団新感線、35周年だそうでございます。目出度い。目で鯛。今回は35周年記念興行ということで大阪を皮切りに福岡、東京と全80公演?もっと?夏が始まる前に始まり夏が終わる頃に終わる。なんという長丁場なのでしょうか。今回、ご存知の通りネタもの、しかも記念興行ってことで劇団員のあんなキャラこんなキャラ総出演の態を成しており、つまるところまだ初日あけて1週間という時点であんまり細かいネタをどうこういうのもこれから見る方の興を削ぐのではという気もしているのです。とはいえなんにも書かないつーのはな!ということでとりあえずメモ書きはこつこつ書きためておくとして、あんまりネタにふれないような感想を残しておこうかなと。

いや、もうまずこれだけは言っておきたいんですけど、35周年ですよ。おぎゃーて生まれた子供がおぎゃーって生まれる子をこさえようかっていう年月ですよ。バンドでもなんでも、30周年とか超えてくるとたいてい貫禄とか分別みたいなものが備わって、なんなら「枯れたよさ」みたいなものも醸し出してくるぐらいの年月ですよ。それなのに、ああそれなのに。
35周年で、このアホっぷり。この中身のなさ。この小五感。すごい。分別って、何?そんな声さえ聞こえてくるかのような、ただ、ただ、「オモシロ」と「くだらない」を詰め込んだ3時間半。何回でも言うけど、すごい。これはちょっと常人にはできない。たいていの人間はそれなりに年月重ねると「良いこと言いたく」なっちゃうもんだけど、そんないやらしい欲目がどこにもない。

客演で呼ばれているのは松雪さんと賀来賢人くんだけで、松雪さんはお馴染みのキャラで出てくるわけですから完全なニューフェイスは賀来くんぐらいなんだけど、いやー彼いいですよ。アホとかっこいいの狭間を絶妙に綱渡りしてる。つーかむしろ後半アホ側に専従してる。今までここを担ってきた勝地くんや浦井シャルルのポジションにまたひとり強力な新顔が!

五右衛門轟天のふたりはもちろんですが、劇団員それぞれにがっつり見せ場があるので、劇団員のファンだよという人ほど楽しめる公演になっているのではないかと思いました。いやわたし、二幕のとあるシーンでマジ腰が浮きかけたものね。あと、五右衛門はこのメンツのなかにあるとすごく常識人に見えますね。っていうか轟天の変態パワーすごいね。こんなめちゃくちゃアホなのに、めちゃくちゃ強い。やっぱり新感線の生み出した屈指のキャラだよなあと実感させられました。そして古田さんの「千両役者感」にますます拍車がかかってますね。

そしてもう、なによりもこれだけは言っておきたい。
成志さん、あんた、漢だよ!!!
いやもう、一幕終わった段階で「成志さんこれ80ステージ超やるんか…!」って観客である私が震撼しましたもの。なんなら、キャストの誰より酷使されとる。この御年52歳の成志先輩の全力坂、これがこの公演を支えているといっても過言ではないと思う私だ。だって成志さんにあそこまでやられたら、皆全力でアホに突入するしかないじゃん!もう、無事東京千秋楽まで乗り切ってください、私が願うことはそれだけでございますよ。

それぞれに仕込まれたネタが細かい&懐かしいので、これはリピートしたくなっちゃう系のやつだなーという気もし。私はあと大阪1回東京1回の予定。ほんとは2回の予定だったんですが、待ちきれず初日開けて2日目のチケットを譲っていただいたという。いやでも終わったあとほんと笑いすぎてぐったりでした。これからご覧になる方、腹筋を鍛えてお待ちください!