「不倫探偵〜最期の過ち〜」日本総合悲劇協会

ニッソーヒ、日本総合悲劇協会名義でしたが、ちょっと「変わりニッソーヒ」という趣でしたでしょうか。天久さんと松尾さんの共同作・演出。ということもあってか、松尾さんがまさに出ずっぱり!ご自身の作だとここまで松尾さんが前面に、というのはなかなかないので、松尾さんの役者っぷりを堪能できてうれしかったです。

どこか劇画な感じ、コマ割してあるようなとでもいうか、そういう空気を芝居から感じました。回転するセットや吹き出しでのおしゃべりのような注釈がそう感じさせたのかな。やっぱり演出に違う目が加わると、作品の空気も変わるんだなと実感。

タイトルからして不倫探偵だけど、不倫はもちろん、殺人、エロ、グロ、フェチ、近親相姦、糞尿にいたるまで、これらをカラっと見せて笑いまで確実にとっていく大人計画の役者陣のタフネスさ、ほとほとすばらしい。ことに近藤公園さんの、排尿の音にしか興奮しない(でも排便はアウト、なぜならそれはもう浮気だから!)夫のキャラ、びんを抱いて「あったかい、仔猫と同じ重さ」とかまるっきり意味のない比較、相当すごいシーンなのに「すごいこと言ってるぞ」というどや感、または「思い切ってこんなことも言っちゃいます!」感のまるでないナチュラルさ、唸るしかない、そして笑うしかない。

人妻としか関係しない「不倫探偵」罪十郎に想いを寄せる刑事、赤星乱。いやもう、私の持ち株があったら片桐はいりに全部ぶっこみます。かっこいい。かっこいい。あの無駄なケレン味、そしてこれでもかと変える髪型を「おまえ…気がつきすぎだろぉ!」と落とす乙女さ、ラストであえて人妻となり罪十郎にアプローチする(だって独身だと関係もってくれないから)したたかさ、満点、満点すぎた!

いや、そんなこと言ったら平岩紙ちゃんもすさまじかったのだ。ボイラー室からのTMレボリューション、爆笑しました。たどりついた果てのAVっていう彼女の業もすごい…。二階堂ふみちゃんの赤ずきんの驚異のビジュアル力も印象深い。伊勢志摩さんの佇まいも相変わらず絶品、もともと男前な雰囲気のあるひとだから、ラストの台詞もさらっと聞かせていてよかったよなー。

松尾さんがメルマガで「もっと的確に笑いをとりたい」って書いてらしたんだけど、ほんと音がするほどビシバシと笑いを確実にものにしていくさまがまったくもってかっこよかったです!