「Vamp Bamboo Burn〜ヴァン!バン!バーン!〜」劇団新感線

初日が開けたのは夏真っ盛りの8月初旬!今はもう初秋どころか、秋まっただ中…待ちかねた!ここんとこわりと初日に近いタイミングで新感線公演を観ることが多かったので、ここまで最終盤にマイ初日が来るというのは久しぶりでした。いやーさすがに、こなれてる(笑)役者もスタッフも完全に「手の内に入った」あとなので、これからもっと変わるんだろうな〜という余地が、さすがにない!そういう新感線を久しぶりに観た気がします。

かぐや姫伝説をベースに、その時代から脈々と生き続けるヴァンパイアと、かぐや姫の正体、実は、な展開を絡ませていくんですが、宮藤さんならではというか、枝葉とも思えるエピソードも相当書き込んでいるだけでなく、枝葉は枝葉で思わぬ伏線回収を見せたりするので気が抜けないという所がある。その各エピソードの書き込みが濃いあまりにわりと最終盤まで主軸の物語としての高揚感が来ないんですよね。1幕ラストのかぐや姫の現代での姿がわかるところがひとつのピークで、そこをどんどん押してくるかと思いきやそこからもわりと分散する(個人的には後半の沖縄色はもっと薄くて良いのではと思った)。しかしもちろん、最後には、積年の愛と積年の恨みがぶつかり合う展開となるわけですが、ここの生田斗真中村倫也のすばらしさ!身体のキレ、見栄えのする立ち回り、ここで一気に物語としてのカタルシスを見せきるふたりのぶつかり合い!これは見応えありました。

いや、しかし、生田斗真は美しいね。基本的に、舞台は顔の造作関係無い、5列離れりゃわかりゃしない、と思ってるタイプですが、それを越えてなお圧倒的なビジュアル力!この場合のビジュアル力とは顔の美しさのことだけではなくて、姿勢や仕草やそういう板の上にあらわれるものすべてを指しますが、あの、タイトルバックの場面!平安貴族の衣装から、烏帽子が落ち、髪がほどけ(銀髪!)、引き抜きで衣装が替わってバックにタイトル、浮かび上がるシルエット、風に舞いあがる長髪!て、絵になりすぎてコンニャローーーー!!!!だったし、ここまでキメてくれたらもうチケット代のもと取ったわ…(早い)て思ったし、大劇場で自分を見せることを彼は心底からわかっている、という感じだった。身体能力の高さももちろんだけど、宮藤さんとも組んだことがあって笑いの間を心得ているというのもすごくよかった。

倫也くん、去年の暮れにライチを見た時に、もともといい役者さんだけど、ちょっと天井知らずになりつつあるし、新感線はここらへんで呼んでおかないとなんじゃないの!?と思っていたので、まさに我が意を得たりなご出演。いや素晴らしかったね。素手で戦って良し剣を持たせて良し喋らせて良し、倫也くん初見のひとには「あ、あのひと、誰!?」って思わずキャスト表とかパンフとかで確かめてしまうガラスの仮面現象を巻き起こしたに違いない。個人的に蛍太郎が生きていたと知ってからの芝居の笑いとドシリアスの切替の見事さに唸りました、唸りましたし、笑いました。

俺たちの栄子はヒロイン枠というよりアクションかっこいい役というか、お笑いカッコイイ役というか、もはやゲストというより準劇団員の風格。あと徳永ゆうきさん、寡聞にして存じ上げませんでしたが、何あの音鉄クオリティ!ちなみに私の見た回は大阪駅の新快速米原行き案内だったよ!お馴染み劇団員の皆様の中では黒霧島赤霧島がよかったなー!ああいう粟根さんスキ…最後はパシリム並のボディスーツだし…赤霧島の川原さん、終盤エイリアン軍団vsヴァンパイア軍団になるところの立ち回りで、もう、早く!早くその人に日本刀を…!って思ってしまった私を許して欲しい。じゅんさんはかなりのキーパーソンなんだけど、もう少しブラックなところが早く出た方が好きだったかもだな〜。あと劇中の演出とはいえ芝居の最中に立たされるの…キライ(笑)いや、じゅんさんのせいじゃないってわかってますけどね!

映像をふんだんに使用した舞台装置で、私としては好みじゃないてというのはあるんですけど、平安貴族と現代のヴィジュアル系バンドをリンクさせた構成である以上しょうがないのかな〜という気もします。あと音楽というのも今作の大きな要素ですが、歌詞を楽しませるためにもああいう手法は不可欠なのかもな〜。音楽と言えば、斗真くんは相当年季の入った音楽好きで知られてますけども(夏になるとフェスでの目撃が風物詩になるほど)、それも今作にプラスに働いた要素だったような気がしますね。斗真くんのヘドバンは美しい!

スサノオ」に出て以来、ずっと新感線と出会ったことを自分の転機だったとことあるごとに語っていてくれて、私が何をしたわけでもないけど斗真くんがこうして大作でセンターに立ってる姿を見るとなんというか、万感胸に迫るモノが若干あったりして、いやしかし今作での姿を見ると、がっつりいのうえ歌舞伎でキミ、1本どうだ?みたいな気にもなってきたりしますよね!