「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」


スター・ウォーズ サーガ」のスピンオフ。正史でいくとちょうどエピソード4の前、銀河帝国軍の宇宙要塞である初代デス・スターの設計図の強奪任務が描かれています。主人公はそのデス・スターの設計に携わった科学者のひとり娘。

むっちゃくちゃ面白かったんです!!私の好きな部分が後半1時間に集中していて、前半部分の描き方についてはん?と思うところもあったりするんですが、しかしそれをぶっとばす後半の面白さ、面白さというか、言葉にすれば陳腐だけれど、希望というもののかすかな光を名もなき人びとがつないでいくカタルシスがすばらしいです。エピソード4を知っているともちろん知っているなりの楽しみがありますが、ここから見たとしても全然大丈夫だと思う。というか、これを見た後エピソード4を初めて見る人はめちゃくちゃ貴重な体験が出来るのではないか!と思ったりします。

ジンがゲレラを探し出し、そして別れる、ゲイレン(父)を探し出し、そして別れる、というシークエンスが前半に続くので、個人的にはジンのキャラを掘り下げるよりも、最終的に「ローグ・ワン」になる面々の群像劇としての立ち上げが早いほうが好みだなあ〜とは思いました。というかそれほどまでにローグ・ワンの面々が魅力的。帝国軍にいながらも脱走してきたパイロットのボーディー、フォースを信じる盲目の僧チアルートと彼の相棒ベイズ、反乱軍にいながらも数々の汚い仕事に手を染めてきたキャシアンと、帝国軍のドロイドをリプログラムしたK2SOのコンビ…。たとえばボーディーとゲイレンにどういう話があったのかとか見たいし!キャシアンとK2SOのドタバタ珍道中見たいし!でもってチアルートとベイズな!あの、「運は必要ない、お前がいる」って、これで萌えに燃えなきゃ女がすたる!って感じだし、あの「お互いの違うところを受け入れている」ふたりのぴったりと背中を預け合う感じ、その描写の絶妙さ!映画のキャラクターそのままでも魅力的なのはもちろん。ことによったら薄い本が百科事典になるぞってぐらいの関係性ですよね…!

今まで見てきたスター・ウォーズは、言ってみればあるひとつの血脈を描いた大河ドラマだったので、反乱軍側にはジェダイという皆の希望があったわけだけど、今回は全員がフォースの使い手じゃないんですよね。だからこそ、最終盤でのダース・ベイダーの醸し出す恐怖がハンパない。もうこんなん、何をどうしたらいいの!?ってなる。だからこそ、ルークがどれだけ皆の希望だったか改めて感じないではいられないわけですよ。

たったひとつのあえかなチャンスに賭ける、勝つか負けるかじゃない、抵抗をやめたらそれで終わりだ、だからこそ立ち上がるというその覚悟。ケーブルを繋ぐ、スイッチを入れる、そのために犠牲になる人たち。あの、チアルートが我はフォースと共にあり、と唱えながら銃弾の中を歩くシーン、あの壮絶な美しさはちょっと忘れがたい。

クレニックさんはひとりだけ白いマントびゅんびゅんさせてどんだけ恐怖をもたらす指導者なの…!って思ったけどすごい中間管理職だった。なんか帝国軍て毎回嫌いになりきれないキャラ作りしてくる(キャラ作りっていうな)。

スカリフ侵入をめぐる空中戦の描き方がすごく懐かしの、というか、エピソード4の当時の描写に合わせていて、そうそうこの狭いところをくぐりぬけるXウィング!まさにスター・ウォーズ!!って感じで楽しかったです。ほんと、多くの人がそうだったと思いますけど、私も見終わった後「エピソード4このまま見たい…」って思いましたので、今後そういう上映会とかありそう。あったら行ってしまいそう。歴史と歴史の間をつなぐ、すばらしいスピンオフだったと思います!