「ワンダーウーマン」


映画についてはあんまりネタバレ警告しないんですけど、これは終盤の大事な台詞をそのまま書いているので、この後見る予定だよ!って人は見てから読んで頂いたほうがよいかも案件です!

DCEUからワンダーウーマン単独作。BvsSでの登場シーンが鬼かっこよかったというのもあるし、北米でまさに他を圧倒する興行収入をたたき出しているというのもありますが、個人的にはガル・ガドット演じるワンダーウーマンと出会うスティーブ・トレバーをクリス・パインが演じるというのも楽しみのひとつでした。北米公開から日本公開までが長かったので極力ネタバレ見ないようにがんばりましたよ…最後の方は映画館で予告編がかかっても目を閉じて見ないようにさえしていた!

正直な話をすると、私、泣いたんですよ。それも、けっこう泣いたんです。いや自分でもびっくりです。なんであんなに泣いたんだろう。

ダイアナはアマゾン族の娘として庇護された島で外界に触れずに育ち、そこで「いつか来るべき軍神・アレスとの戦い」に備え鍛錬を積んでいる。そこに「外界」から文字通り飛び込んでくるのがドイツ軍にスパイとして潜入していた英国人スティーブ・トレバー。

第一次世界大戦という現実にがんじがらめになっているスティーブと、言ってみれば善悪二元論の塊のようなダイアナの、そのギャップをめぐるやりとりはコミカルでもあるんだけど、世の中はそんなに単純なものではない、ということをすでに知っている私たちにはもどかしくもある。スティーブはダイアナにこれはみんなの責任だ、という。善と悪は神話の時代のように、はっきりと目に見えるものではない。

ガル・ガドットクリス・パインの双方の魅力が文字通り炸裂していて、美しく、チャーミングで、なによりもめっっっちゃ強いダイアナと、そのダイアナに振り回されながらも一貫して何事にも真摯なスティーブ、この組み合わせのすばらしさったらなかった。島でお風呂に入りながらダイアナに裸を見られちゃうシーンのやりとりも好きだし、洋服を選ぶときのアレコレも好き。なにより最高にキュートだったのはあのアイスクリームのところだ、アイスクリームは本当にすばらしい、アイスクリームは世界を救うよ!

でもって、ここから先は映画そのものの感想から外れるかもしれないんですけど、映画の中でダイアナがそれこそ圧倒的な強さで敵をねじ伏せるとき、私が思ったのは、そうかあ、男性はいつも、こんな気持ちのいい思いをしていたんだなあってことでした。正直、ものすごく気持ちよかったです。ノーマンズランドを文字通り腕1本で凌ぎきり、村を開放するワンダーウーマン。会議の場に女を入れるなんて!という時代に、居並ぶ男どもを居酒屋でも戦場でもなぎ倒すワンダーウーマン。もちろん、過去に「強い」女性が映画の中で描かれてこなかったわけじゃないと思います。そういう映画を自分も見ていると思います。でもこんなに気持ちいいなあと思ったことはなかった。それは彼女の強さが無条件であるからかもしれません。何かを犠牲にして得た強さではない。女性性であったり、母性であったり、可愛さ、優雅さ、そういったチャームを捨てなければ得られない「強さ」ではない。そういう彼女の「存在全肯定」みたいな強さがひたすらに発揮されるとき、私の心は確実に少年ジャンプを読んでいるときのそれでした。やれー!いけーー!わるものたちをやっつけろーー!

しかし、この映画の一番素晴らしい所は、その無条件に強いダイアナに初めて喪失を味わわせ、そして「愛」というものを教えるスティーブ・トレバーの描き方なんじゃないかと思います。なんというか、こういう映画で、「愛」を帰結点にもってこられると、そうですよね、愛ですよね、愛があればなんでもできるんですもんね〜〜〜ケッ!みたいなスタンスになってしまう自分がいるんですけど、そしてそれはあんまりほめられたことではないというのはわかってるんですけど、でもホントにこの映画を見た後は、この映画のテーマを一言で表せって言われたら、「愛」って言っちゃう自分がいました。

僕は今日を救う。きみは世界を救え。
スーパーヒーローを描いた数々の映画の中でも特筆すべき、きわめて美しい台詞ですし、そして人はなぜいつの時代も、そうしたスーパーヒーローを求めてしまうのか、という答えが、このフレーズに凝縮されている気がします。正直、この台詞をこうしてPCで打ち込んでいるだけでまた泣いている自分がいます。この台詞があるだけで、私にとってはこの映画は5億点です。

それにしても、DCEUのブルース・ウェインさんは本当にマメなひとですね!ジャスティス・リーグちょう楽しみにしていますよ!!