「新感染 ファイナル・エクスプレス」


「新感染」つーとどうしても演劇ヲタ的には違うものを連想してしまいますが、こちらはどちらかというと「新/感染」という感じでしょうか。原題は「釜山行き」。ゾンビパニックものなので、普段見に行くジャンルではないんですけど、あまりに評判がよいので足を運んでみました。

非常にシンプルな舞台設定で、ソウルからプサンへ向かう特急列車の中、ウイルスに罹患した人間が次々に人間を襲っていくのですが、なにしろ特急列車の中です。先頭車両から最後尾まではかなりの距離、そして通路はもちろんひとつ。大変なことが起こっている!というのが伝播していくのにタイムラグがあり、そのやきもき感をうまく活かした序盤、そしてゾンビパニックを全員が把握したあとは、ゾンビによって分断されたひとつの世界(その列車を止めるという選択肢は、いったん実行されたのちに「その列車の中以外に安全な世界がない」ということを知らしめる形で否定される)をどう乗り越えるか?というストーリー展開がなにしろ見事でした。

ゾンビといえばロメロの、あのゆっくり動く、そして死なない、というイメージがやはり強いですけれども、新感染のゾンビはめちゃくちゃスピーディ。あっという間にゾンビになり、目が合うやいなや猛スピードで襲い掛かってきます。そして噛まれちゃったらもう逃げられない!そのゾンビ特性ゆえにというか、いわゆる「怖がらせるための演出」みたいなのがいっさいないのもよかった。連結部のドアを誰もいないと思ってあけたら…ギャー!みたいなのがない。ゾンビ!来る!来ますよ!ほら!という感じでゴリゴリ押してきます。そのゴリゴリくるゾンビを、あの手この手で交わし、時には物理で倒していく。文字通りこの映画のハイライトなのが、妊娠中の妻と、わが子と、恋人を助け出すために男たちがバットと拳で向かっていくところ!マ・ドンソクさんほんと…あれで惚れない女はいないよ!?

こういうパニックもののお約束ですが、乗客の中にほんっとにお前だけは!絶対!許さん!みたいなどクズがいて、んもうおまえ!おまえのせいで!とギリギリしっぱなしでした。そのあたりもうまさではあるんですけど、あまりにもどクズすぎて、あんな末路じゃあたしゃ許さないよ!?ぐらいの気持ちですよ…

最期の最後まで予断を許さない展開、伏線の回収ぶりまで含めていやーよくできてるなー!と感嘆しきりでした。面白かったです!