「修羅天魔~髑髏城の七人 season極」

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約1年3か月にわたる髑髏城マラソンもとうとうファイナルラップに入りました!なんとか5シーズン6バージョン完走してこれでもうこの劇場に来ることもないのかなとか思ってたけどふたを開けたら次はメタルマクベスだっていうね!またお世話になります!(ヤケ)

さて大トリを飾るのは極楽太夫天海祐希を迎えて、捨之介のいない「髑髏城の七人」新バージョンといいますか、極楽と天魔王の間の因縁を物語の大きな縦糸にした、半分新作といったような物語です。以下思いっきりネタバレを含みます。

この1年間、ずーっと「もう知ってる物語」を見てきたせいもあるんだろうけど、この新作部分は非常に新鮮でした。心の底から「中島先生完全新作が見たいです…」とスラダン名場面してしまいたくなるほどに「新しい物語」に飢えてたんだなーおれ、と思いました。でもせっかく新作部分を書くならもっと大胆にいってほしかった感も否めず。そのキャラ、その台詞、そうまでして残す?と思ってしまった部分もあり。

極楽(お蘭)が鉄砲撃ちなので、とうぜん立ち回り部分を誰かが担わなくてはいけないわけですが、そこを川原さんと山本亨さんの役柄を書き足すことでカバーする、これはすごくうまくいっていたと思います。狸穴の役を大きくするのはすごくいいアイデアだったし、新作部分の柱でもある(そして最後までその謎で引っ張る)「蘭と約束を交わしたのは本当の信長だったのかどうか」に狸穴が一枚噛むことで「どちらが真実か迷わせる」(こういうとき、狸親父の名を後世にまで恣にしている家康というキャラが効きますよね)のもうまい構成だった。そして何よりふたりの立ち回りがたくさん見られる!これは嬉しかったですね。特に今回、川原さんが帰ってきてくれて、これだよ~!感ハンパなかったし、かつ七人の中に入ったことがなんというか、功労賞というか、なんかぐっときちゃいましたね私。まあ人数数えて足りねえなってなって、こりゃ生きてるなとは思ってたけど、髑髏城で再会するとこはもっとここぞ!でどかーんと出てほしかった気はします。

無界の里を仕切っているのが夢三郎というキャラで、これがいわゆるトリックスターというかなかなか面白いキャラクターでした。最初兵庫とブロマンス風のやりとりをしていたので、これでこのあといろいろあって二人が殺し合うようになったら最高だな(そういう性癖ですいません)と思っていたらまんまと望み通りの展開がきてあーりがとうございまーす!ってなったよね。ただ今の造形だとちょっとサイコパスに寄りすぎているのが個人的には難かなという感じ。親父にあまり愛されてない自覚ありつつ、無界にちょっと心もありつつ、でも最終的には親父の命令にどうあっても逆らえない愛されない息子とかだったら私の倍率ドンさらに倍であった(知らんがな)。そういう意味でも兵庫は夢三郎との部分をもうちょっと書き込んだほうが盛り上がったのではないか(私が)。というか、無界襲撃のあとの「良い子分持った」まで全部ひとりでばら撒いてひとりで拾わせるのさすがに酷では!?と思いましたね…。福士くんの兵庫はかなり好きなセンなので、原形にこだわらずこの本ならではの兵庫像をもっと突き詰めてもよかったのにな~。それにしても竜星くんは今回の殊勲賞をあげてもよいと思うぐらいぐいぐい舞台を引っ張る場面があってよかったです。身体のキレもすばらしい!

天海さんはさすがの引き受け力というか、センターに立つことをよくわかってらっしゃる佇まい。構成上、最後に天魔王と一騎打ちになるのが髑髏城城内じゃないので、クライマックスの絵作りに苦労している感はすごかった。やっぱり鉄砲での対峙では立ち回りで「一発勝負の奇襲技だ」のカッコよさを凌ぐのは難しいですかね。とはいえ、ぐるぐる構造を文字通りぐるぐるさせて走馬灯にしていたのすごかったです。演劇で見せるリアル回想シーン(ただし舞台裏は戦場)。原さんを歌わせてオモシロ髑髏党を存分に見せてたのはめっちゃよかった。ああいう無駄なオモシロはどんどんやってほしい。長いからこそあの一発で終わらせるのが面白いわけだし。三五が夢三郎に裏切り美学からモノ申すのも好きだったなー。三宅さんカンテツという鉄板の人材投入もあって、安心して面白がれるネタがあったのはやっぱり大きかったですね。やっぱり笑い、大事!

古田御大はちょっと台詞を噛みすぎだ!いやそんなこといっててライビュの回とかではかんぺきに仕上げてくるんだろうけども(笑)。個人的には信長のときのあののんしゃらんとした感じが、近ごろとんとお目にかかれなくなった古ちんの昔取った杵柄感があって「ああ~~~信長さまもっと生きて~~~」と思った私だ。とはいえ、この物語の天魔王は英海軍とのエピが全削除なこともあり、ちょっとなにやりたいんだか正直わかんない(自分でも「自分の存在を知らしめようとして余計な時間を」と言っちゃってる)のもあって、役に説得力を持たせるのも結構難しいような気はしました。

新作部分の新鮮さに引っ張られた部分も多くあり、1幕長ぇな!とは思いつつもなんだかんだ楽しく見られたと同時に、もともとの物語の骨格を面白く活かせた部分もあれば、殺すところもあったなーというのが発見だったかな。カーテンコールがぐるっとパターンじゃなくて、古田の水吹きを久しぶりに観られたのは嬉しかったです。あと天海姐さんのカーテンコールの「たっぷり」ぶりな!さすがですぜ!

さて、次の7年後の髑髏イヤーは…あるんでしょうか!ないんでしょうか!どっちにしても私のぐるぐる髑髏イヤーはこれでひとまず終了です!おつかれさんっした!