「大人のけんかが終わるまで」

キャストが魅力的なので気になってチケット取りました。脚本はヤスミナ・レザ。日本版上演台本を岩松了さんが手がけています。

不倫関係にあるアンドレアとボリス、デートで選んだレストランがボリスの妻の推薦だと知って揉めだすふたり。埒の明かなさに食事をやめて帰ろうとするも、偶然通りがかった老女と接触事故を起こしてしまう。ところがその老女はボリスの妻の親友の義母で、彼らはこのレストランに義母の誕生日を祝って食事をしにきたのだった。

ヤスミナ・レザの作品、「ART」も「大人はかく戦えり」も拝見しているんですけど、今回がいちばん難物というか…難産というか…いやー翻訳ものの難しさをひさびさに感じたな。これだけ魅力的なキャストが揃ってもなかなかに御しがたいという印象が残った。それぞれの登場人物がそれぞれの事情を得手勝手にぶつけあって、その混沌のキワを味わうみたいなの結構好きな方なんですけど、混沌…までに至ってないというか。どこか舞台と自分の間に一枚紙が挟まったような感覚がずっとあり、それが終盤までなくならず。うーむ。

個人的に麻実れいさまには今回のような役よりもずばっと王道で芯をとる役を見たい気持ちがありますな。というか、イヴォンヌがどう見てもこの中でいちばん強い。鈴木京香さんも板谷由夏さんも藤井隆さんも皆健闘されてたけど、今回の中ではやっぱり圧倒的に北村有起哉さんに一日の長があったという感じだ。しみじみ、うまい。ゆっきの演じるボリスだけが見えているキャラクターと台詞から見える人物像にブレを感じさせなかったです。さすが!