「オーシャンズ8」

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当時豪華キャストを集めに集めまくった「オーシャンズ11」の女性版。監督はゲイリー・ロス。リブートというよりも、オーシャンズ11のフォーマットを踏襲しつつ、あの世界線と地続き(主人公がダニー・オーシャンの妹で、オーシャンズ13のその後)という設定です。

デビー・オーシャンの出所シーンからはじまり、獄中で練り上げた作戦の実行のためにかつての仲間を訪ね、人集めが始まる…という、クライムムービーの王道の描き方。標的となる舞台がハリウッドでもっとも華やかといっても過言ではない(毎年趣向を凝らしたドレスが話題になりますよね~)メットガラ、そのホストに選ばれた女優の懐に入り込み、カルティエの門外不出のお宝を引っ張り出すという趣向なので、コン・ゲーム的要素もふんだんにあります。

こういったコン・ゲーム的なものでいくと、観客としてはダマす方もダマされる方も味わえる、カモをひっかけるスリルと同時に、計画の綻びのように見えたものが実は、という展開があるのが個人的に醍醐味だと思うんですけど、この後者の「観客に対するひっかけ」が薄いというか、あまりにアッサリしていたのがちと残念ではあったかな~。計画実行自体にもう少しヤマがあって、それがあの冷蔵庫の中身に繋がっていました…という展開だとなお好みだった。

とはいえ、今回のキャスト、サンドラ・ブロックケイト・ブランシェットアン・ハサウェイ、リアーナ等々文字通り綺羅星のごとき花も実もあるスターを集めていて、彼女らの自由闊達さを堪能できるという点ではとても目に楽しい映画でしたし、それにもうあれだよ。なんといってもデビーの相棒ルーを演じたケイト様だよ。カッコよすぎた。まじで、カッコよすぎたわ。デビーを迎えにきたときのスキンシップ、あのレストランでの「乗る?乗らない?」を「あーんして」でやるシーン、胸がときめきすぎてこれこんな絵面が120分続くんかい!?無理!かっこよすぎて心臓によくない!って思いました。衣装もどれもこれもどれもこれも鬼のようにかっこよくてお似合い。ローズをスカウトするときのペールブルーのスーツ…拝む…デビーが過去の因縁のある男を計画の一部に組み込むことに異を唱えるとこも最高だったじぇ…デビーとルーのコンビはまあどこを切り取っても尊い!の連打でしたねマジで。

あと個人的にすき!てなったのがタミー。サラ・ポールソン最高じゃないですか。有能が服着て歩いてるってあのことか。正直作戦実行の要でしたよねタミー。調達屋なだけじゃなくて現場監督兼ねてるもん。あのヴォーグ誌に面接受けにいったところで、本物のアナ・ウィンターが出てきてキャー出たー!と心の中で大喜びしてしまいました。アン・ハサウェイのダフネもよかったなー。ローズがデザインした劇中のドレスが、ローズがウリにしていたというゴスっぽさがまるでなかったのがちと残念だったんですけど、とはいえあのトゥーサンとピンクのドレスは彼女にむちゃんこ似合ってたし、最後の最後まで魅力爆発してたなーと。あとリチャード・顔がいい・アーミティッジが満を持してド正面からの顔がいい役なのも楽しかった。デビーが再会してつくづく「顔はいい…」って言っちゃうの頷ける。

かっこかわいくて自由な女性たちがわいのわいのと一山儲けるところを気楽に楽しめるよい映画でした。あの、チームが解散するときのさ、それぞれのキャラクターの「その後」みたいなショットが出るけど、ルーがさー、バイクで海岸線をひとり気ままに飛ばしてるっていう、み、見たことある!なんか一仕事終わった後の男がなぜか馬とかバイクとか車に乗って去っていくイメージ映像みたいなあれ!!!と思ってひとり大ウケでしたし、女も馬とかバイクとか車に乗って風の吹くまま気の向くままだよってエンディングが成立するようになったかと思うと嬉しかったです。地に足なんか頼まれたってつけないぜ!