「スリル・ミー」

初見です~。成河くんと福士くんのペアを観てきました。ブリーゼ、文字通り満席中の満席。2階の最後列からの観劇でした。

仮釈放委員会での「私」の語りから始まる導入部と、「彼」が出てきてからのやりとりで、あれっこの話、クリミナルマインドで似た構造のやつ見たな?と思ったんですけど、たぶん基にしているのは実際のレオポルドとローブ事件のほうなんでしょうね。成河くん演じる「私」の肥大した自意識があまりに濃厚だったので、これはひょっとして非実在彼みたいな展開…?と思ったんですけどそんなことなかった。うがち過ぎた。てへ。

ミュージカルなので、もちろん歌が介在するんだけど、それよりも「メロディに乗せた語り」という印象が強い。共依存というよりは、捕食者と被捕食者といった佇まいのふたりだけど、その様相が終盤一気に貌を変えていくのが物語のキモという感じです。シンプルだけど力強い照明がすばらしかったな。あの二人の顔を細長い明かりが照らすところ、仮釈放の場面、「私」が自分たちを鳥かごの中の鳥になぞらえるときの奇妙に清々とした光…。

ただ、彼らの起こす「事件」があまりに凄惨極まりないので、いや殺人そのものよりも、10歳の子を誘い出すそのさまを1曲まるまる歌われるという展開はけっこうダメなひとにはダメだろうなあという感じがしました。あの1曲は私でもキツい。「彼」の家庭での鬱屈も、それに引っ張られる年齢は私はもう過ぎてしまったな…とこういうときしみじみ思います…。

成河くんさすがに達者な芝居、福士くんの酷薄そうなのにどこかに甘さがある「彼」とよいコンビでした。人気のある作品なのも頷けるし、いろんな組合せを観たくなるやつだよな~と思いましたし、自分で妄想キャスティングとかもやりたくなっちゃいそうな感じありますね。