「罪と罰」

ひさびさのシアターコクーン。勝村さんが「罪と罰」のポルフィーリーをやるってことでそれは観ておかんと…!と思って足を運びました。

いやー正直、長丁場だし、観念的な台詞は続くし、かなり演劇体力を試される4時間弱。あ、もう、いいや、と途中で心が折れるとあっというまに取り残されるやつやな…と思いながら観ていました。キャストもうまい人を揃えていて、うまいだけでなく華もあり申し分ないのだが、いわゆる舞台上での「横方向のボール」ばかりで、こちらに対する「縦方向のボール」がない。こっちから必死になって舞台上で起こっていることの意味や面白さを拾っていかなきゃいけない感じなので、もしこれを私が高校生のときに観ていたら、たぶんドフトエスキーも演劇も退屈だった、という烙印を押しかねないな…と思ったり。

ああいった猥雑な雰囲気の舞台美術で、混沌としたさまを見せつつ長丁場を見せきるのであれば、どこかに突出したエネルギーが欲しかった気はします。個人的にはどこをつかんでよいかわからぬままに一幕が終わってしまった感じがあってこれはこのままだとヤバいな!?と思ったんだけど、二幕は最初から波に乗って見られたので何とか岸にたどりついた…という感じ。

勝村さん、かの「刑事コロンボ」を彷彿とさせるというか、淡々としながらいつのまにか手錠をはめられてる、みたいな佇まいだったので、ちょっと意外だったな。もっと「ホトケもホシもいただき」とばかりにネチっこくくるタイプのポルフィーリーを予想してた。朴訥の仮面をかぶったヘビもこれはこれで好き。春馬くん、ほんとこれ大変だろうな…!体力的にも心情的にも相当な重労働と思われる。でもこういうのやりきった役者さんてぜったい演劇体力が格段にあがったりするもんね。

最近のコクーンの演目立てにあまりときめかなくなってきてしまったところもあるんですが(こんまり論法)、やっぱり渋谷の雄ですし、ここらで新規芸術監督をドーンと迎えて新機軸を打ち出してほしいななどと思う今日この頃です。