「獣の柱」イキウメ

2013年に「まとめ*図書館的人生(下)」として上演された作品を改訂再演。例によって今年はスケジュールがギチギチなので「再演は後回し…」と最初は予定に入れてなかったんですが、これも東京公演観た方がすげーよかったすげーよかったというので結局我慢できなくなり、ギチギチの中大阪公演に駆け込んだという…このパターン今年何回繰り返すんや…。

イキウメの大阪公演といえばお馴染みのABCホールじゃなくてブリーゼというデカめのハコだったので、どんなもんかな?と思いましたが特に違和感もなく。とはいえやっぱりもう少し小さい劇場の方が劇的効果は高いだろうなー。

6年前の上演からかなり変えていて、といっても6年前のディティールをそこまで鮮明に覚えているわけじゃないんですけど(当時の感想はこちら)、それでも「あ、かなり違うな」と認識できるぐらい大幅に展開が変わっている印象を受けました。黙示録的な話の筋立てや、終末観としては今回の方がよりわかりやすくなってますよね。しかしその終末とのキャラクターたちの絡ませ方は前回の方が私の好みだったかも。いや、それはおまえ前回のラッパ屋の造形が好きなだけだろと言われてしまうとぐぅの音も出ませんが。いやだってあのラッパ屋魅力的すぎましたもん。あんなん成志さんにやらせて爪痕残らないわけないでしょって感じです。

安井さんやっぱり抜群の存在感。うまい。前半の絶妙な「軽さ」で物語の展開を主導していくとこが、ほんと他では代えがたい味だよな~と思う。浜田さんは一見「普通のお兄ちゃん」なのに、ヒュッと「人外スイッチ」みたいなのが入るのが毎回すげえなと思う。イキウメの役者陣はそれぞれ手の内に入ったパターンの役がちゃんとあって、でもそれだけじゃないプラスアルファが各公演ごとに楽しめるのがいいし、劇団の強みだなーと思います。しんぺーさんのラッパ屋夫婦、あれはあれできっちり物語をかき回してくれるし、絶妙なノイズ感があってさすがでした。

前田さんの作品で一番好きなところは、この「獣の柱」もそうだけど、演劇で「大いなる虚構」を描こうという意思が一貫しているところで、そこは他になかなかない得難さだなーと作品を拝見するたび思います。今秋のプロデュース公演も何とか都合をつけて観に行きたい!