「ラスト・フル・メジャー」

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トッド・ロビンソン監督。セバスチャン・スタン初主演作!え!?そうなの!?ベトナム戦争において英雄的な行動をとった空軍兵士への叙勲をめぐる物語で、実話がベースとなっています。エンドロールで関係者ご本人映像あり。

何しろキャストが文字通り、綺羅星のごとくというやつで、クリストファー・プラマーウィリアム・ハートエド・ハリスピーター・フォンダサミュエル・L・ジャクソンてもう、容赦なくぶっ込んできたな!という感じである。しかも全員が、ベトナム戦争のなかに心のどこかを置いてきた、壊されたキャラクターであるので、その彼らが自分自身と向き合っていく最終盤はもうほぼ演技力の殴り合いという感じであった。

しかし!あくまでもまったく個人的に腰が浮くほど興奮したのは主人公ハフマン(セバスタ)のペンタゴンの同僚にジョシュが、いやジョシュじゃなくてブラッドリー・ウィットフォードなんやけど、もうジョシュって呼ばせて!ジョシュがいたことである!しかも!セバスタと並んでペンタゴンの長い廊下を話しながら歩いてくる、それを正面から撮り続けるカメラ、ほ、ほ、ホワイトハウスを彷彿とさせすぎやろがい!ってなったし、しかもセバスタとバスケ…バスケをするシーン…(ザ・ホワイトハウスでもあるんですよジョシュらが大統領とバスケをするシーンが…)もう、セバスタとジョシュが並んでるってだけで(しかも結構絡む役なんよこれが!)ひえ~~~~見にきてヨカッタァ~~~~となったのもむべなるかなである。

事実は小説より奇なりとは言うけれど、逆にむりやり「奇」を盛り込むことも当然できないわけで、そしてピッツェンバーガーの行動に照らせば、その話が日の当たるところに一度出れば名誉勲章授与を妨害するほうが国にとっても政治家にとってもマイナスだったろうと思うんですよね。だから告発以降のドラマが薄くなるのはもっともなれど、しかし物語としては食い足りない部分が残ったのも事実。あとベトナムに移住した退役軍人を訪ねていくところ、いやそんなアヴァロンとか言われましても…現地住民からしたら勝手に美化してんじゃねーよってならんか…?という部分は残りましたな…。

セバスタ、若くして国防総省の中枢にぐいぐい食い込む野心家、という役どころなんだけど、野心家というには雰囲気柔らかくて、奥さん役がファンタビのクイニー(アリソン・スドル)だったので、ご夫婦のシーンがいずれもかわいい&かわいいだった。エド・ハリスが手紙を渡すシーンが個人的にはいちばんぐっときたところ。マスクが涙で濡れました。