「ナイル殺人事件」

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原作はもちろんアガサ・クリスティの「ナイルに死す」。こっちの邦題のほうがなじみ深いような気もするけど、映画の邦題としては据わりがよくなかったんでしょうかね。ケネス・ブラナーエルキュール・ポアロを演じ、監督もやるシリーズとしては「オリエント急行殺人事件」に続く第2弾。本来はもっとはやくに公開される予定でしたが、コロナ禍で延期に延期を重ね、そのうちに出演俳優の問題があったりして、まさかお蔵入りかなと思っていたんですが、するっと公開になりましたね。若干どさくさ紛れの感もなきにしもあらず。

有名な原作ですし、アガサ・クリスティーは子どもの頃に一度は読んだはずなのですが、さすがに昔すぎて覚えてないな…と思いましたけど登場人物出てきたら展開を思い出しました。しかし、それはそれとして、かなり脚色されており、特に冒頭が第一次世界大戦従軍時のモノクロ回想シーンで始まるので、マジで「ヤッベ入るスクリーンを間違えた…!」と焦りました。ケネス・ブラナーのお顔が見えてホッとしたよ。

自分がどういうトリックかを知っていて見ている分を差し引いても、小説では自然に流れていく描写でも、映像では「語りすぎる」「見せすぎる」という部分が大いにありますね。オリエント急行は結末が一種特殊で、映像映えする部分がありますが、ナイルに死すは風景のダイナミックさは映像向きではあるものの、最初の殺人までの引きの長さ(これも小説では全然気にならない)、それに比して第2第3の殺人のあっけなさ、登場人物を減らしたことでフーダニット面での興趣が削がれたように感じられたのも、ちと残念なところでした。

ケネス・ブラナーポアロ自体は好きですし、オリエント急行も今回も相当豪華なキャストを揃えていて楽しいので、あと何作かは見たいな~という気もしますが、どうなんだろうな~。コロナ禍を経験して、こうした大掛かりな映画は製作しずらい方向にあるかもしれませんね。もしシリーズ続けるならせっかくなのでヘイスティングスが出てくる作品を見てみたい気もします。