「ソー:ラブ&サンダー」


MCUフェーズ4、ソー第4作。監督はラグナロクに引き続きタイカ・ワイティティ。エンドゲームのラストでGotGの面々と去ったソーのその後が描かれます。スパイダーマン、Drストレンジとマルチバースが主軸になりつつあるけど、今作はド直球にフェーズ3の地続きの話。

見ていてうまいなーと思ったのは、予告編に出てくるあんなシーンこんなやりとり、ほぼオープニングで出尽くしてたなってこと。もちろん、ジェーンがムジョルニアを持って「ソー」として出てくるっていう部分はひとつのヤマだけど、でもその部分ですら「サワリ」に過ぎないんですよね。んじゃあこの物語の本流は何かっていったら、最終的にそれが「ラブ」に集約していくわけで、なんかすげえ楽しそうなタイトルだなあー!と思っていたものが実は結構ヘヴィーなものを含んでたっていう。でも兄上の物語っていつもそうかもしれない。MCUイチいろんなものを喪ってきたの兄上だもんね。母を喪い父を喪い、弟を、友人を喪い、国も喪う。それでも悲愴が先に立たないのは、兄上の得難いキャラクターと、常に前向きの運動力と共にあることもあるんだろうな。

クリスチャン・ベール演じるゴア、神殺しのために手段を選ばないヴィランの禍々しさがむちゃくちゃ効果的で、色のない世界の描き方とかに感心しつつ、その一方で「なんとなく詰めは甘いがこまけぇことは気にすんな」みたいな印象も正直あった。難しいとこだけどね!タイカ監督ならではのあのオフビートなやりとりがあってこそじゃん、という気もするし、実際この映画イチ笑ったのストームブレイカー周りで、あの辺とかホントタイカ監督の真骨頂って感じじゃないですか。でもその…ゴアの最後の願い、そりゃそうなるだろう…という風に見えちゃうし、だとしたらここまでのストーリーテリングはいったい…ともなるし、あとギリシア神話周りの描写も楽しかったけど、あそこで4人が何がしたかったのかいまいちわからん…などなど、しっくりこない部分もあったって感じです。

あとまあ、私が徹頭徹尾ラブに心を引っ張られないタチってのもあるんかなと思う。まったく引っ張られないわけではないが、ここで描かれたジェーンとソーの歴史とかに「特に興味ない」みたいな顔して見ちゃうとこある。ジェーンがムジョルニアを持てる理由が、ジェーン由来ではなく、ソーのかけた願い由来だったってとことか、あとソーがスターロードに言われる、ある意味核となる台詞の「喪うことでどれだけ最低な思いをしても、それを知らなかったときよりマシ」っていうあれはね、恋愛を通じてむきだしの他者と相対することを極力避けてる人間には痛い台詞…!とか思ったりもしたんですけども。

ニューアスガルドで神話劇やってる面々がますます豪華になってて笑ったし(メリッサ・マッカーシー!)、マット・デイモン嬉々としすぎだろってなりましたね。クリスチャン・ベールのゴアはさすがでした。何やらせても突出する人だねほんと。あの禍々しさったら。ナタリー・ポートマンのジェーン、最後の決めセリフのところむちゃくちゃよかったな。レディなんて呼びやがるやつを今後もぶっ飛ばしていってほしい。そうそう、ガーディアンズと兄上のやりとりは全部最高でした。あとヤギも最高でした。どこからあんなの思いつくのか。

ポストクレジットシーン、やっぱりー!となったのは、実はこれ撮影時期にイドリス・エルバがクリヘムさんたちとオールブラックス訪問して一緒に写真撮ってたのをみたんですよね。なのでソー4にヘイムダル出るのかな?って思ってたらこれだったかーっていう。エンドロールでお決まりの文句が出たけども、やー次はどこで出てくるのかな。先日SDCCで次のアベンジャーズ映画が発表されたけど、やっぱりそこに参戦するのかな。しかしもはやMCU世界の拡大のスピードに振り落とされそうよ!