「七月大歌舞伎 夜の部」

  • 松竹座 17列15番

堀川波の鼓」。仁左衛門さまが小倉彦九郎の予定でしたが、体調不良による休演ということで勘九郎さんが代役。勘九郎さんがやる予定だった宮地源右衛門は中村隼人さん。
どんな話なのか、まったく予備知識ないまま見ていたので、途中で「おいおいどういう話なん」となり、最後まで「おいおいどういう話なんだよー!」とツッコミながら終わった。近松門左衛門先生こういうのも書いてるのか…勉強になりました…
妻の不義、即、死あるのみといった時代を描きつつも、お種と宮地源右衛門が一線を越えてしまうときの描写が昼メロもかくやというねっちょり具合でおいおいおい…近松先生やってもうてるな!と思いましたね。勢いでってのとも違うエロさがあって面白かった。思えば宮地源右衛門はなんか、とんだ間男だなって感じなんだけど、勘九郎さんがこのよろめき間男をやるはずだったのか…それはちょう観たかった…と自分の癖(ヘキ)丸出しのことを考えてしまいましたね。

祇園恋づくし」。鴈治郎さんと幸四郎さんがそれぞれ二役で実にイキイキと演じておられました。このお二人の相性の良さよ。でもって、江戸っ子の留五郎(幸四郎さん)が関西人の中に入ってすったもんだする、という構図も演者とリンクしててよかったですね。おそのの虎之介さん、おげんの壱太郎さんが実に間の良い受け手になっていて、どの組み合わせも楽しく観られた気がします。なにげに勘九郎さんと壱太郎さんのコンビも好き。
それにしても、幸四郎さんの舞台を拝見するのすごく久しぶりな気がして、久しぶりだからこそ実感したんだけど、ほんと幸四郎さんって、見てて嬉しくなる役者さんですよね。こっちの心を弾ませる何かがある。そういうのって、私はどうしても勘三郎さんを思い出してしまうんだけど、じゃあ勘九郎さんはっていうと、幸四郎さんといるときの勘九郎さんって、なんだか三津五郎さんを思い出させるんだよなあ。不思議なものですね。