「VAMP SHOW」

初演1991年、再演2001年。えーあの再演からもう21年経ったの!?ってこういうことがあるたびに思うやつ。もともとはサードステージプロデュースの公演で(だから初演の演出に板垣さんが入ってる)三谷幸喜にホンを書いてもらって新感線(古田)TSB(西村)第三舞台(京)の役者らが勢ぞろいしたわけだから、今から思うとすげーなって感じですし、再演は再演で堺さんやら蔵之介やらが顔を揃えてて、そう思うと今まで再演されなかったが不思議な感じもしますね。今回の演出は再演メンバーでもある河原雅彦さん。

もう全公演終わってるので遠慮なく展開を書いていくが、「電話」がわりとキーになるので、携帯・スマホのあるなしをリライトするのかなと思いきや、まったく変えずでしたね。そのまま使うって条件つきだったのかな。リライトつっても、携帯の電波が届かないことにしないとどうにもならないとは思いますが。ちなみに、私がこの芝居でいちばん好きな台詞は「通じるわけないよ、あれ貯金箱だもん!」なんですが、ここはやっぱり「電話」というアイテムの重さが今と初演当時では違うので、昔ほど爆発的なオチにはなってなかったかもしれない。逆にいまは「貯金箱としての赤電話」のほうが実際「あり得る」という感じなのかもしれないですね。

丹下の役は初演キャストだった古田新太の嗜好をかなり色濃く反映した役柄になっており(終盤のこれでもかなスプラッタは完全に彼の趣味)、再演でもじゅんさんでこれが引き継がれたので、こうしてフラットなキャストで見るとあの部分はちょっと浮いて見えるところもあるな。他がかなりきれいに死ぬのに比べるとね。

かなり倫理観ガバガバな台詞が飛び交うけれど、そもそも吸血鬼だしねというエクスキューズがあるおかげか、それほど古くさく感じずに観られた印象があります。そこは5人のキャラの立て方のうまさもあるんだろうな。三谷さんの趣向としてホラーは範囲外というところはありつつも、小道具の使い方や設定の巧みさはさすが。あのかばんも、最終盤までうまく引っ張るなと思いながら見ていました。

一番好きな台詞があれですから、当然駅長さん激推しなんですけども、初演三谷さん再演手塚とおるさんで、今回菅原さんで完全におれの好き系譜やん!と嬉しくなりました。期待にたがわぬ面白さとバランサーぶり。岡山天音さんの島は今までとちょっとタイプは違うけど、わんこ系可愛がられ後輩の色がハマっててよかった。久保田紗友さんは公式サイトで「大きな舞台は初めて」と話されてましたが、そのコメントが意外に思えるくらい堂に入ったところがあって好感。姿勢つーか、立ち姿がまず堂々としててよい。この芝居って小田巻の謎の動じなさがボディブローのように効いてくるのが肝だと思うので、よいキャスティングだったんじゃないかと思います。