2009年に世田谷パブリックシアターのプロデュース公演で上演した作品をイキウメ劇団公演としてリブート。確かこれの初演が私が初めて観た前川知大さんの作品じゃなかったかな?シアタートラムでの公演でしたが、評判が評判を呼んでいて、それで気になってチケット取った記憶があります。トラムが立ち見も含めてぎゅうぎゅうの人でした。この作品が気に入ってそのあとイキウメを追いかけ始めたんですよね。評判の良さからその後奇ッ怪その弐、その参も上演されています。
「牡丹灯籠」が芯にあるお話だったことは記憶していたんだけど、細かい展開は結構忘れてたな~。前回上演の際は小松和重さんが出演されていて、読経の場面の声の良さとか裸足で演じていたので土踏まずが見える!とかむちゃフェティッシュな興奮をしていた記憶は鮮明なんですけど。こんな大人になっちゃダメだ。
登場人物が順に語り手となる構成と、それが次第にひとつの物語に集約される構成はもちろん見事ながら、こうした民話、俗話、怪談話といった類のものをしっかり演劇的なものに仕上げる、というのは16年前も新鮮だったし、今なおこうした手触りの芝居において前川さんは他の追随を許さないところがありますね。怖がらせる演出をほとんどしないのに、足元からくる怖さがあり、でもその怖さは反射的なものじゃなくて、我々の「感覚」に根差しているという、やっぱり優れた作劇と演出は時間が経っても古びんな~!と感服。
黒澤役の浜田さん、ホントこういう「常ならぬ」雰囲気のある役がお似合い。刑事コンビの安井さん盛さんの組み合わせもよかったな~。もとがプロデュース公演だったことを思い出させないくらい、イキウメンズが作品世界にはまっていてさすがでした。上演時間といい作品のクオリティといい満足度高し!!