「蛮幽鬼」@大阪

土曜日のマチネを鑑賞。1ヶ月ぶりかな?
畳んでないけど当然のようにネタバレてるんできをつけてー

しかし開演12時半、土曜日いっぱつめ、さすがに役者も身体が起きてない、といった印象でした前半(笑)。まあ、客も起きてないもんね。しかし2幕は見違えるようによく、しかも尻上がりになっていたので、これは今日のソワレは相当いいんじゃないかと思ったらソワレを観た姉は「ちょう良かった」と言っていた。

新橋に較べて梅芸は間口が広いので、そのあたりの処理はけっこうたいへんだったろうなーというのと、あと花道がないので出ハケの変更箇所がすごく多かった。客席通路使いまくりだったしね。ちょうどその出ハケに使う通路際だったので、ひえー目ェ見開いて濃いアイラインの上川さんが向かってくるよぅぅぅ的なおもしろさも味わえてよかった(そうか?)すごい勢いで皆走ってきたりするけど、角を曲がるときとかほんと驚くほど足音が軽いのな。どたどた走る人ひとりもいなかった。しかしなかでも極めて足音、身のこなしが軽く、目の前を横切っても体重を感じなかったのは早乙女太一くんでしたね。猫か!妖精か!

芝居としては堺さん演じるサジが、東京ではクール&サドって感じだったのがこってり鬼畜、みたいな顔をちらっちら覗かせてたのが印象的。最後のふたりの立ち回りで「あんたの動きも読めてきた」で斬られたあとの、斬られたことにびっくりして身体がついていかない、みたいな芝居がすごかったな。あと、これ東京の時やっていたかどうか記憶にないんだけど、「本当の名前?ないよそんなもの。あんたにはあるのかい?」の台詞のあと、土門が傍らの蔵人と美古都と目を合わせる、というワンクッションがあったんですよ。東京でやっていたとしてもあれほど「意味を持たせるシーン」としてではなかった気がするんだけど、ほんの数秒のことながらあそこが加わったのは大きいと思った。そのあと、うなり声をあげながら二人が激突するシーンに向けて、あの一瞬の静寂が大きなフックになってたとおもう。

やっぱりこう、ツートップがはまると新感線の芝居は面白いね。今回は二人の大黒柱ががっつりキャラをもっていっていたし、それに絡むキャストがきっちり仕事をしていて、いい座組だったなーと思います。この日の前半の立ち上がりの悪さを最初に立て直してくれたのは稲森さんだったし、じゅんさん聖子さんの二人がそれを後押ししてくれた感じだったなあ。この二人はまさに仕事師だよねええ。粟根さんの今回の役、救いどころがないけど、土門と立ち会えと言われたときの卑屈さ、浮名を刺しながら土門を見るときの目とかね、ほんっと矮小な人間を絵に描いたようで見事だった。太一くんも相変わらず立ち回りは見事だし、最後にサジに向かっていくところとか、東京よりもさらに感情が乗っていてぐっとくる仕上がりになっていたと思います。

そういえば縄をかけられて連行されるときのじゅんさんの日替わり台詞、今回は事業仕分けについてでした。けっこう本音トークとみた。いろいろ楽屋でも話題になってるんだろうなあ。

千秋楽まであと少し、怪我なく無事に迎えられますようお祈りいたしております!