「橋を渡ったら泣け」  MONO

タイトルがね。最初どーいう意味なんだろう?とか思っていたんですけど。「今は泣くな、渡ったら泣け」って。それが見終わったあと非常に力を持った良いタイトルだなぁと思えてきてねえ。本当、これ今年のタイトル大賞あげたいよ。

設定は明らかにはされないんですよね。なにがどうなってこんな状況になったか、その辺の詳細はまったく説明されないんだけど。でもそういう(天変地異のような)状況に陥った当人たちが状況を細かく把握しているわけないんだしね。細かく説明されるのもどうか、と思うし。私はこういうはっきり説明しない、みたいなのが好きなので全然とっつきやすかったです。

「何か」がおこって水没してしまった日本で、たまたま山の上に観光に来ていて生き残った集団がある。そこに船に乗って漂流してきた一人の男がたどりつく。彼は漂流以来初めて出会った「ひと」の姿を見て、涙をこぼす。男はその集団に落ち着くようになったが、だんだんその限られた社会の中でひずみが生じてきて・・・。

なんというか、人間の嫌な部分・・・いや違うなぁ、「集団」の嫌な部分をさりげなくしかし徹底的に描かれててねぇ・・・本当、途中で舞台に上がって栗田役をぶっ飛ばしたい衝動に駆られましたよ。ものすごく身に覚えのある「ヤな感じ」感が満載。それは役問わず出てくる人全員にちょっとづつあって、それがまたうわーそう来ましたか〜と思うんだけどさ。(しかし女性陣二人にはそのカラーが薄かったのは、やっぱり土田さんが男だから?)だからこそ佐田山の「このままだったら僕もヤバイですよね」「今度また誰かに出会って、そしたら僕、またきっと泣きます」の台詞に救われるんだけど。

「その鉄塔に・・・」の時も思ったけど、ここの役者陣は地味ながら本当にきっちり作品世界を創り出しててさすがだと思いました。手堅い、っつーのかなぁ。うまいっす。マジで。

毎度毎度の話で恐縮ですが本当に土田さんはタイトルをつけるのがうまい。タイトル大賞実施したら毎回つっちーが受賞者になってしまうような気がする(笑)