「あゆみ」

  • 青年座劇場 A列27番
  • 作・演出 柴幸男

「ままごと」の代表作である本作品を青年座60周年記念公演で上演する、というので足を運んできました。それなりに長いこと芝居を見てても初めて足を運ぶ青年座劇場。トイレの前に靴箱があってその年季に歴史を感じたり。

ひとりの女性の「あゆみ」、象徴的な意味ではなくて、具体的に「歩く」場面で構成された芝居。やーすごい、すごいアイデアですね。おかあさんの手を引いてだだをこねたデパート、犬の散歩の途中のおしゃべり、学校の帰り道、酔っぱらってクダをまいた深夜の帰路、そして子どもの手を引いて歩くデパート…。「わが星」でもそうでしたが、「刹那と永遠を一度に手の上に乗せる」という表現がこれまたしっくりくる芝居でした。

幅広い年齢層の女優陣が入れ替わり立ち替わり、さまざまな年代の女性を演じていくわけですが、年齢層が幅広いからこその面白みもあり、逆に全員が変わらない年代で演じればまた違ったものが見える戯曲だろうなーと。「こども」だった頃と、「母親」になってからの視線が入れ替わってループするところも好きでしたが、ラストの、間違われて「おかあさん」と呼びかけられるシーン、そこからの交錯がとてもよかったです。

それにしても、前日に見た「母に欲す」でもそうでしたが、母親の死、というやつはそれが芝居の中で起こる出来事であっても冷静に見られないものがありますね。

あと、昨年ソーントン・ワイルダーの「わが町」を今井朋彦さんの演出で観たのですが、なんとも言えず通底したものがあるように感じました、特にラスト。いつか柴さんが本家「わが町」を演出するの観てみたい気も。

あと蛇足ですが、当日券で拝見したんですけど、購入する時に「どこでこの公演をお知りになりましたか?」って聞かれたんですよ。たぶん、役者(スタッフ)の知り合いかどうかってことだったと思うんですけど(名前を書くメモがあったしね!)で、「webです」って答えてから「4200円です」って言われたんですけど、アレやめたほうがいいですよと申し上げたい(笑)最初に一律当日券代徴収してから確認する(そして関係者だったらバックする)とか、まあ小さな話ですけど、でもそういう些細なことを客というのはよく覚えているものですし、どこの劇団の誰とも関係のない、一観客に最初に壁を感じさせるのはどこをどう転んでも得策じゃないYO!と思います!