「なむはむだはむ」

野田さんの「子どもの書いた台本を演劇にすることはできないだろうか?」という発案をハイバイの岩井さんが受けて具現化。一緒にプロジェクトを立ち上げたのは森山未來前野健太という強者揃い。

未來くんの身体性、前野さんの音楽性、岩井さんの物語性がそれぞれ子どもたちを含めた観客の集中力をぐんぐん高めていくのが手に取るようにわかって、やっぱり突出した何かっていうのは年齢に関係なく伝わるものがあるんだなと実感しました。私は根っからの物語人間なので、中でも岩井さんがたどって見せていく物語の筋道、その語り口のうまさにとても心惹かれました。ただ読む、というだけではああはいかない。やっぱり人を惹きつける魅力と技術がありますよね。あと、音楽っていうのはやっぱりすごく強い。言葉が1000かかって積み上げたものに1で到達したりする瞬間がある。

それぞれが楽器を演奏するシーンもあって、未來くんのベーシストぶりは中でも口から変な声出そうになるぐらい魅力的でよかった。あれはずるい。あれで落ちない女はいないよ!選ばれた演目は日替わりでしかも組み合わせは毎回違うようで、構成が違うバージョンも見てみたかった気もしつつ、しかし自分が見た回が物足りなかったというわけでは決してないのでうまく作られてるんだなあと。

わりとたくさん小さいお子さんも観劇していて、冒頭の観客と会話していく導入部で子どもがぐんぐん手を挙げて物語に参加しようとしていたんですが、これがほんと岩井さんが書いていらっしゃったとおり、子どもたちは皆、ものすごく簡単に「死ぬ」という物語の展開に飛びつくんですよね。岩井さんや未來くんや前野さんによる導入がなくても、子どもはかんたんに起承転結の「結」に「死ぬ」という展開を選ぶ。つまりそれは、それがドラマとしてもっともわかりやすい(それこそ子どもにも思いつく)展開なんだなと。

いやだからね、何かというと難病ものでどうにかしようというアレってまあそういうことなんだな!と思ったわけです。がんばろうぜ、おとな。