「ノーアート・ノーライフ」  NYLON100℃

パリのラパン・アジールにある架空のカフェを舞台に繰り広げられるへなちょこ芸術家たちの会話劇。話が転がっていくうちに「どうしてそうなる!」みたいな展開になるのはKERAさんらしいな〜とか。はっきりオチのない終幕もさもありなんではあるし,意味ないっちゃないんだけど,でも今まで見たナイロン作品に比べると,それでも一種の清涼感つーかカタルシスがあってちょっと意外ではあったんですが。

後半,もう俺は自分の好きな絵だけを描くと宣言したタイナカに,いつも通りアバンギャルドな絵を要求するブローカーのトニーにペンキをぶっかけるシーンや,そのブローカーに向かってモズの書いた詞で「泳げたいやきくん」をみんなで熱唱するシーンなんかがまさにそれだと思うんだけど,そういう意味ではそのどちらも先頭に立っている三宅さんが一番おいしい役なのかも。そういえば私が見た回で,スイカを丸ごと食べてる野生児三宅に山崎さんがツボってしまったらしく,全く途中セリフが言えなくなるという(笑いすぎで)場面までありました。

今回のは男芝居で,みんな手堅くうまい役者さんばっかりだったんでものすごい安定感ありましたね。私のご贔屓は大倉さんなんですが,これが意外とこの濃いメンツの中にあって常識派の役回りがはまっていました。つーかまあ温水さんとか強烈だからなぁ(笑)

私は大阪の初日に見たのですが,その日ダブルアンコールがありまして,KERAさんが出てこられて,「大阪でダブルあったの実は初めてで」と仰っていたのが非常に印象的でした。次回「フローズンビーチ」の再演らしいので,このイキオイをかって大阪にも是非来ていただきたいです。