- 本多劇場 P列17番
- 作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
ホワイト→ブラックの流れは個人的にいい順番だったかなと思いますが、どうなのかな。先に見た方を親と思うじゃないけど、ホワイトのほうがストレートに見えた。ブラックのほうがねじれがきついというか。(ほぼ)同じ脚本で、これだけ「違う」と思わせるものを作れる、そして客を飽きさせないというのはすごい。
しかし、こういう大倉くんに俺はほんと弱いのな。もうセクシーすぎて死ぬか思いました。ああ、もう、こんなにダメなのに、でも才能があって、もてあましていて、でも何かを曲げられないとかはいはいほんとわかりやすくてすいませんね!好きだよこういうの!悪いか!
実際のところ「役をまっとう」しているのはホワイトの三宅さんの方だと思うんだけど、三宅さんのケムリには「こうとしか生きられない」大人の空気というか、どこかスジのようなものが見えて、それが本当に三宅さん巧者だなあとほとほと感心したんですけど、大倉くんのケムリには「こうとしか生きたくない」青年の空気があるつーのかなあ。とにかくツボだったとしか言いようがない。
それにしても、劇団の話っていうのは総じて痛い部分出てきちゃいますよね。見てる方でもそうなんだから、やってる方は結構大変じゃないかなあと思ったりした。たとえば最初ケムリを糾弾しに来た劇団員が、あんなに塔島を推していたのに、最後には「やっぱあの人ダメっすわ」とか言っちゃうところ。
笑っちゃだめなものなんてない、と言って、他人の不幸を笑い飛ばすホワイト、自分の不幸を笑い飛ばすブラック。どちらも壮絶。
おなじみの劇団員がダブルキャストで見られるというのはしかし贅沢な話ですよね。あーこの人はこういう風にやるのか、という見方もできてお得でした。しかし中でもみのすけさんと清水さんは同じ役とは思えない。二人とも独特すぎます(笑)。あと、それぞれで主役をやったおふたりが清掃員で出てくるときの楽しそうなことったら!生き生きしてたよ。そうそう、ブラックで劇団研究員の塩見をやったのが水野顕子さんで、「噂の男」でもそうだったけどマジこういう役やらせて右に出るものいない、ぐらいのいやったらしさ。最高。
もう1回みたかったなーと反射的に思ってしまうような作品でした。DVD買おう。