
予告を見たときに面白そうだな~と思い、沖縄で公開されるのを待って観てきました。監督・共同脚本・主演が大鵬。すごい。多才すぎる。日本にも「超高速!参勤交代」みたいな、過去の権力者からの無茶ぶりを市井の者たちの知恵と工夫で乗り切る映画がありますが、これも同様に中国の唐の時代、玄宗皇帝の寵姫楊貴妃の誕生日の祝いに、嶺南から楊貴妃の好むライチを届けよ…ただし生で、という無理難題に挑むひとりの役人の奮闘が描かれています。
分類としてはコメディになりそうだし、実際おもしろおかしい場面もたくさんあるのだが、終盤になるにつれ中央政府による搾取のえげつなさ、権力闘争による巻き添え、「ライチを運ぶ」ことの裏で行われる市民への圧政などが容赦なく描き出されてだんだん真顔にならざるを得ないやつ。あたりまえだけど圧倒的な勢力・権力を有する唐王朝のスケールのデカさに比例する搾取のえげつなさが際立つし、皇帝をめぐる権力闘争に巻き込まれたことよってあらゆるものを喪う主人公、見ているほうがつらくなるというやつだった。私は個人的にあのライチの森が切り倒されるところがいちばん堪えたね…。
それでも、嶺南で李善徳が出会う人物のそれぞれの輝き、キャラとしての面白さがこの映画のトーンを明るいものにしてくれてるのは間違いない。特に「ええしのボン」であるところの蘇良!あんなのみんな好きに決まってる!あと嶺南の役人から下げ渡される奴隷の林、ああ~~~こうなるような気はしてたけど~~こうならないで~~~!という展開そのまんまでしたね…でもってあとからこれがトワウォの信一だと気が付いた私…鈍感すぎんか!?
あれだけのことを乗り越えて届けられた楊貴妃のライチが、ついに口にされることはなく終わる場面の残酷さ。マジで中央政府許すまじ。でも李が最後嶺南に流されて、あのライチの森を再建させようと働くことができているのはよかった。そしてそこで聞く安史の乱の報。盛者必衰とはこのことか。歴史ドラマとしてのスケールの大きさ、人間ドラマとしての生き生きとしたキャラクターの機微、どちらも味わえて見ごたえがありました。