踵を鳴らして

the pillows@武道館。2009.09.16。
the pillows、20周年の結成記念日に初の武道館公演。行ってきました。ほんとーにほんとーにいいライヴでした。私のような新参者がお邪魔していい場所ではないのではないのか!と思いながら、自分の欲望に勝てず(もちろん頑張ってチケット自力で取ったよ)、ファンの方々のお邪魔にだけはならぬよう・・・みたいな気持ちもありつつでしたが、結局のところ心の底から楽しみまくってしまったという。いつもと変わらんやん。

武道館には今まで何度も足を運んでいるけれど、あんなにもアーティストもオーディエンスもなにもかもが初々しく、新鮮な喜びに満ちていて、おめでとう!!のきもちでぱんぱんに詰まった武道館は初めてでした。そして武道館の物販の列にあんなに人が並んでいるのを初めて見ました・・・すごすぎる。2階のスタンドでひとりで座っていたら、となりの女の子がどちらからですか?と話しかけてきて、名古屋からです、と言ったらその子はなんと北海道からきていたのだった。一緒にいた彼氏がpillowsの大ファンなんだそうだ。それで、今日聴きたい曲ってありますか、と言われたのでその日新幹線でヘビロテしていた「この世の果てまで」かな〜と言ったら、偶然その彼氏さんもその1曲を選んでいて、うわーすごい!と3人で盛り上がったり。お二人はライジングも参加していて、あのときは最初の台詞を噛んじゃったから今日はちゃんと言えるといいね・・・ととてもファンらしい心配をしていて和んだ。

舞台には幕が掛かっていて、つまるところオープニングは振り落としだったのだけど、でも最初メンバーは袖から手を振って登場しているのが見えていたあたりもなんだかほほえましかった。特効の火花もあったなあ。バック一面にLEDのスクリーンがあって、ちょうど窓のような形で十字のラインがはいっていて、4分割になったり、窓枠にあたる部分だけ違う映像になったり・・・といろんな使い方をしてました。

最初は特に長いMCもなく、それよりはいっぱい曲をやりたい、ということなのかなあと思ったりもし、でも1曲1曲へのオーディエンスの拍手はすごく暖かくていい雰囲気だった。そうだ!プロポーズやってくれたんだった。この曲、すごい好きなんです私・・・さわおが、「メンバーに送るバンドソングの悪ふざけバージョン」って言ってるのを見てから余計好きになってしまったっていうのもあるんだけど。今年RIJFに一緒に行った友達と、「どうしてボーカリストとというのはああもめんどくさいのか」という話で盛り上がったことがあって、それでこのプロポーズっていう曲はそのバンドのボーカリスト、という人種のめんどくささとかわいらしさをすごく良く表してる曲だと思うんですよね。「常識を追い越して強がりと踊るつもり 僕のこと引き受けてくれよずっと」なんて、わー!どんばまり!みたいなね。

スクリーンに映ったメンバーを見るよりは肉眼で追いかけているほうが好きなので、あまりスクリーンの映像は覚えていないのだけど、1989、あれはやられた。pillowsの結成記念日、つまり1989.09.16という数字が表れて、そこから日付のカウンターが回り出す。それこそ目にも止まらぬ早さで数字はカウントアップを続けていく。そんな早さなのに、20年という長さにはなかなか届かない。1989の曲と、その目で見る20年という歳月の圧倒的な重さ。あれはすごかった。

この日いくつもそういう場面はあったのだけど、オーディエンスの拍手が本当に長く続いていて、中でもストレンジカメレオンの前のさわおのMCに対する拍手はひときわ大きく長く続いた。俺たちには音楽の才能があるから、とさわおは言った。「だからみんながCD買ったりライブ来てくれたりするのも当たり前、感謝なんてするわけない・・・ナンテ言ってみたかったけど、感謝しないわけないだろ!ありがとう!」拍手はいつまでも鳴り止まないのではないかとおもったほどだった。次に口を開いたとき、さわおの声は完全に詰まっていて、ああ、やばいこれはこっちがやばい、さわおもやばいかもしんないけど!とかおもってアタフタしてしまった。いつも暗いところを歩いてきたけど、その中に時折光が差した、その光が君たちだったよ、と彼はどうにか言い終えて、ストレンジカメレオンのイントロが流れた。

「生涯で傑作を10曲挙げるとすれば間違いなく入る曲」と公言したミスチルの桜井さんの言葉を借りるまでもなく、本当にこの曲は、名曲、と呼ばれるにふさわしい。後半叫ぶように歌われたこの日のストレンジカメレオンは、きっといつまでも忘れられないだろう。

ここから、サードアイ(正直ストカメでぼろ泣きしており、イントロについていけなかった・笑)、この世の果てまで(隣の子とハイタッチして喜んだ)、雨上がりに見た幻、その未来は今、そしてハイブリッドレインボウに続く流れは圧倒的なキラーチューンの連打で、まさしくこれこそが20年選手であるバンドの底力だ!という感じがひしひしとした。

アンコールは3回。2度目のアンコールのラストがLITTLE BUSTERSで、本当に武道館全部が「おめでとう!」の空気に満ちた完璧なラストだったし、スクリーンに映るバスターくんはかわいいし(ほんと思わず帰り物販に並ぼうかとおもっちゃったほどだよ)、3回目はないのかも、と思いながらも、でも客電はつかないし、新参者としてせめてこれぐらいは、な気持ちで最後までアンコールを続けていたら、とうとうメンバーが出て来てくれたのだった。開口一番「調子に乗りやがって」と言われてしまいましたさわお先生に(笑)

メンバーも、最初はみんな、緊張してるのかなともおもったけど、最後は本当にいい笑顔だったね。メンバー紹介のMCも肩の力が抜けててよかった。サポートベースの淳くんの、今日はステージにたっているけど、気持ちはみんなと同じ、20周年をお祝いするためにきました、という言葉もぐっときた。さわおは最後は「今度はもっと小さいところで遊ぼうぜ」つってた。OOPARTSツアー・・・行きたいなあ。あーまたこうして戻れない道を歩いてしまうんだなあ(笑)

ともかく、ほんとうに素敵な夜だった。この日を共有した長年のpillowsファンはきっと万感の思いだったのだろうなあなんてことを考えたけど、きっとその人達にはその人達なりの思いがあるんだろうね。バンドって不思議、バンドのファンって不思議だ。その思いが報われる事なんて実際のところ少ないかもしれないけど、でもこの夜はそういうたくさんの思いが報われた一夜だったんじゃないかと思う。ほんとうに心から、いい夜でした。THANK YOU the pillows!