鳴らない「クラシック」

TLで見ている人が多いのでつられて「最高の離婚」を1話2話となんとなく見ていたんですが、先日放送された3話がすごくよかったので思わずメモ。

かつて恋人同士だった濱崎(瑛太くん)と灯里(真木よう子ちゃん)の過去の因縁というか、濱崎は「どうしてふられたのかいまいちわかってない」という状況だったのが、ようやく灯里側からの事情が語られるというシーン。
その中で彼女が語る自身の父の死、そしてその傷ついた自分にとって唯一の光のようだったという曲がJUDY AND MARYの「クラシック」。その曲を、事情を知らない濱崎は彼女の前で「安っぽい花柄の便座カバーみたいな歌」と言ってしまう。

恋人が聴いている曲にそんな乱暴なこと言うかしらん、という声もありそうだけれど、ここまで鋭利な言葉でなくても「安っぽいJ-POPだね」ぐらいのことは、特に気が緩んでいればなおさら口にすることがないとは言えないとおもう。恋人同士に限らず、親子でも、友人でも、同僚でも、それこそツイッターのTLでもそれは起こり得る。誰かにとって大事なものが、他の誰かにとっては便座カバーにしかならない。

その告白を聞いた後濱崎は、「クラシック」が収録されたジュディマリのベストアルバムを買い、それをひとりで聞き直す。パソコンのCDドライブにCDをセットして再生する。しかし、彼はイヤホンをしているので音はこちらには聞こえない。その瞬間、見ている私たちの頭のなかで、私たちの知っている「クラシック」が流れ出す。先ほど聞いた灯里の物語が、その曲をいつもよりもよりきらきらと、センチメンタルに響かせる。それはもしあの場面で実際に曲をかけていたら、絶対に起こらないことなのだ。

私がドラマが終わったあとに「クラシック」を自分のパソコンで再生したのは言うまでもありません。

しかし、この選曲ももう、これしかない!というドンズバさで唸らされる。ジュディマリの「クラシック」は1996年のヒット曲ですが、同じ年の女性ボーカルのヒット曲、もちろんたくさんあるがここはジュディマリ一択だろうとすら思わされてしまう。誰かに安っぽいと一刀両断されるけれど、しかし別の誰かにとっては福音のように響く曲。

灯里の独白にくわえ、今回はラスト近くに瑛太くんと綾野くんにも長い独白があって、モノローグを書くのがうまい脚本家さんなんだなあ、「それでも、生きていく」思い出すなあ、と思ってたら脚本家同じ方だっていうね…!いやーすいません…!

エンディングのダンスも毎回楽しみなのですが、どこかコミカルに映る男性陣もかわいいんだけど、真木さんも尾野さんも押し出しが強くて、どこか挑みかかるような目つきで踊っているのがイイです。カッコイイ女だいすき。次回も楽しみです!