惑星ピスタチオ最終公演。だ,そうだ。なんだか人ごとみたいだ。チケットをもって劇場に行くときもどうしても実感が湧かなくて人ごとみたいだった。まあ,人ごとなんだけど。自分のチケットが「1列」になっていてもなんだかどうでもいい感じがした。
ストーリーはなんというか,かなり奇妙で,私の愛する「KNIFE」にものすごく近いテイストを感じる作品でした。あたしは,すごく好き。中盤までかなり訳の分からない展開なんだけど,というかラストまで非常にワケが分からないと言ってしまえばそれまでなんだけど,物語のあちらこちらに散りばめられた言葉がものすごく力を持っていたし,最後,墓掘り人夫の掘る墓穴が3つから4つになったことや,その4つ目に入る人のことを考えるといろいろな解釈ができるようでそれも楽しい。白血球ライダーとナイフを足して2で割った感じとでもいいましょうか。
主役を末満さんにやらせたのがまず意外でした。腹筋さんで来るだろうと思ってたので・・。シャトナーさんが舞台に立っているのを私は初めてみましたが,アタリマエだが他の5人との差は歴然(笑)。保村さんも意外とおとなしめな役だったかなぁ。宇田さんが,これもまた私のこよなく愛する逃がし屋ジゲンに近いテイストの冒険家をやっておられてこれがもうずっぱまり(笑)。すごい好きだ〜〜!!「次に私を夢に見るときはもう少し男前に・・・」ってセリフ,ぐっと来たなぁ。しかし最前って余りにも近すぎてもう靴しか見えないような感じよホント。ピスタチオは照明がすごくいいのでもうちょっと後ろで見た方が良かったかもなぁなんて思ったり。
なんだかどうしてもこの解散公演が人ごとみたく思えてしまうのは,ピスタチオがやってやってやりきってもう演劇で僕らのやることはない!という解散公演じゃないからだと思う。なんだか回りの環境や「しょうがないもの」にからめ取られて仕方なく筆を措く,という感じがどうしてもしてしまうんだなぁ。勝手な想像で,それこそ本当のことはわからないんだけれど。だからどうしても湿っぽい「解散」という言葉にに私自身が浸りきれないんだよな。そうじゃねえだろうって思ってしまうというか。
ピスタチオの舞台ではいつもこの世にないモノにたくさん出会えて,音速で走る人間や鋼鉄のパチンコを操る小学生や,白血球や赤血球や,たくさんの魔物や異星人や,そういうものがあたしには確かに見えたし,鳥人間の羽音を,トカゲの化け物がその長いしっぽで床を叩く音さえ聞こえてた。
舞台というのは,やはり不思議で,その世界ではハリウッドにさえできないような世界を創りあげることができるのだ,月並みな表現だけど,想像力という翼を借りて。そのことを,ホントウにしてくれたピスタチオ。あたしは,だから,大好きだったのに。
とにかく,まだ芝居というものに情熱を持っているメンバーだけでも,これからまた舞台というものに関わり続けて欲しいと思う。私はまた,あなた達と舞台の上で出会いたいです。
その後もシャト研などで劇団員の方をたくさん拝見しました。現在もそれぞれのスタンスでご活躍されているのを見ると、やっぱり嬉しいです。ピスは私にとって大事な劇団のひとつだったので、愛着も格別ですね。