「カフカズ・ディック」  オリガト・プラスティコ

あーケラさんって本当にカフカが好きなのね。というのが一番の印象ですかね。ナイロンに限らずケラさんの芝居というのは、今まで何本か見ているけれど、いわゆる物語的な大団円というものからほど遠くて、でも今回は「カフカ」というスジがはっきりしていたせいかある意味わかりやすくできていた気がしました。オチもあるし。ただそのせいで(おかげで?)ケラさんらしい不条理さ加減というか訳わからさな加減がなりを潜めてしまったきらいはあるかなぁと。

それにしてもマックス・ブロートが後半カフカについて語る台詞の一つ一つが妙にストレートでびっくりしたことです。

私はそんなにめっちゃカフカ好きというわけでもないんですが、鴻上さんの影響で(笑)ちょこちょこ読んだりはしていまして。で、芝居見ながら思い出したんだけど、そういえば昔カフカの映画とかも見に行ったことあったんだった。保険屋さんだったんだよな、そうそうとか思ったり。芝居の中でもカフカの小説が読み上げられるシーンがあったのですが、なかに「断食芸人」があって嬉しかった〜。しかも小須田さんがちょこっと読んだんですよ。ううう、宇宙だ宇宙だ(涙)

小須田さんがカフカ役をやっていまして、まあ小須田さんらしいというか本領発揮というか、ドライアイスのようなクールさを如何なく発揮しておりました。山崎さんと松永さんはケラさんのホンになれているだけあってやっぱりうまい。特に松永さんは絶妙すぎ。「あれが食いたいこれが食いたい」のとこ、あの変わり身は凄まじいッス(笑)。三上さんは相変わらず声が良くて得体が知れなくて大好き。怪しいよなぁ〜。しかしそれにしても小沢真珠佐藤藍子に激似だと思うのですが。

終わってからカフカ読み返したくなったあたり、ケラさんの意図にまんまと乗せられているような気がします。