「卑怯」「反則」と名高い成志さんを拝見しに当日券で行ってきました。ってそれだけかよ!(笑)いや、思った以上に評判が良かったのでやっぱり観ておくかなぁと。その甲斐あってなかなか面白かったです。
誰よりも非常識な存在であったはずのナオトが最終盤には誰よりも状況を察知している人物として浮かび上がってくるところとか非常に面白いなと思いました。アケミはチエという人を本当には見ていなかったしチエもアケミのしたことには気がついていない。トクオは、ナオトは自分を信じ込んでおり裏切ったら大変なことになると恐れているがナオトはそこまで義兄に縋ってはいない。ナオト以外の三人はお互い自分の文法でしか相手を見ていない訳です。最後の場面で常識と非常識が反転するところがうまいなーと思いました。
最後の余韻を持たせる終わり方も結構好み。彼がドアの方を振り返った瞬間に暗転、ね。こういう説明のなさはスキですわ〜。ただ、これは脚本なのか演出なのかはわかりませんが、非常に余白が多いな〜という印象受けましたね。私はもっとギチギチに間と空間をつめたのが好みなのでこれは人それぞれでしょうが。アケミ&ナオトの場面、チエ&トクオの場面ともこれは感じましたです。
役者さんは、聖子さんはさすがのうまさという感じでしょうか。黄桜どんを呷って叫ぶ「死んでしまいたい」はかなり胸を衝かれました。冒頭アツヒロ君ひとりではなかなか走り出さない芝居のペースを一気にトップスピードまで持っていく所もすごい。アツヒロ君は掛け合いやテンポがでてきてからはすごく波に乗って良いんですが、ひとりで喋り続けなければならない冒頭がちょいだれるかな。でも声がすごく響いていて良いですね。成志さんは「反則」と名高いだけのことはありましたが(笑)が、しかし恐ろしいのは見続けている内にブリーフ一丁の姿が全然違和感なくなってくるところのような(笑)。ああ、そういえば、ブリーフ一丁だったね、ぐらいの。情けな&へなちょこ兄ちゃんとしてはベストな配役かと。