- 青山円形劇場 D列43番
- 作 テネシー・ウィリアムズ/演出 鈴木勝秀
去年だっけ。一昨年だっけ、堤さんと大竹さんコンビで見たのが私の初「欲望」だったんですが、そのときあまりにもピンとこない部分が多かったので(役者さんではなく話的に)、何で皆がこんなに「欲望」やりたがるのかわかんないと思ったんだけど、今回のは面白かった!円形という空間の作用も大きいと思うけど、各キャストの緊張感がきちんと客席に伝わってきて、最後のほうは居たたまれない気持ちにすらなりました。あれだけぶつかり合いを見せられたら「もういいよ、もういいから二人ともやめて!」って言いたくなるよなあ。そんな気持ちにさせることに成功したっていうのは、演出&各キャストの勝利だよなあと思いました。
いままでのスタン像を塗り替える!と豪語していた古田氏ですが、さすがに凄い迫力と凄い追い詰めぶりで場を圧倒してくださいます。ステラとブランチの話を聞いた後、何も知らない振りをして部屋に入ってきて、ステラを抱きしめながらブランチを見つめるシーンがあるんだけど、その邪悪な笑いがめちゃツボでした。いやー久々にちゃんと芝居している古田さん見たなあって感じ(じゃあいつもはなんなんだ)。ステラとブランチの対立関係とその根源の深さがきっちり描かれているので、ブランチがどんどんどんどん神経をやられていくのも手にとるようにわかる。途中で天井が落ちてくる演出はそういう意味でも観客に伝わりやすくて良いですね。ブランチって基本的に鬱陶しい女だと思うんだけど、篠井さんのブランチは何かに縋らないと生きていけないと「思い込んでしまって」いる様がなんとも哀しくて、ミッチに「結婚して・・・!」と懇願するシーンは泣けました。ステラの久世さんも良かったし、田中さんて結構アブナイ役をやることが多いような気がするんだけど、純朴ないい人キャラからの豹変ぶりはさすがの迫力で凄かった。おかしくなっていくブランチを見つめながら流していた涙がすごく印象的でした。
スズカツさんの演出ってわかりやすいスタイリッシュさというか、カッコいいんだけど行き過ぎていないところが私はすごく好きで肌に合うんですよねえ。ノイズを多用する演出もらしくて好きだし、「謎の男」の使い方も好み。素の舞台に皆で小道具持ち込んで舞台を作るところも好きだなあ。音楽の使い方がカッコいいのは言わずもがな。スズカツさんの演出が東京でしか見れないのは本当に残念です。お、大阪にも来てええええ。