「U-1グランプリ CASE05 ジョビジョバ」

  • 赤坂RED/THEATER F列1番
  • 共同脚本・共同演出 福田雄一/マギー

ありがたいことに、先行で当てていただきました。ありがたい。ありがたい。ジョビジョバのメンバーが12年ぶりの再集結でこのハコのキャパ。奇跡です、もう。

前三列を桟敷にして、通路にも(あのレッドシアターのほっそい通路ですよ)補助席入れて、文字通りぱんっぱんにふくれあがった客席でした。開演前に聞こえてくる会話も当時の懐かしさを語るひとや、当時TVでしか知らなかった彼らにとうとう会える喜びを語るひととさまざま。客席全体に「ようし来い!」って気合いが入ってるような感じさえしました。

何を感想として言うかっていうとね、もう、面白かった!笑った!それに尽きます。懐かしいっていうノスタルジーを感じるよりも面白さのほうが先に立ってたし、あと変わらないなみんな、っていうのも思ったなあ。いや、もちろん12年分年はとってるし、それぞれで見れば変わってるところも勿論あるんだけど、集団として見たときのベクトルっていうんですか、それがほんっと変わらない。

以下具体的にコントの内容に触れますので畳みます。
15本ぐらい?もっと?あったでしょうか、福田さんが出てくるコントも2本ほどありましたが、基本的にはジョビジョバの6人のみ(福田さんは出たくなかったー客席で見ていたかったーと当日パンフで。わかるその気持ち)。個人的に今この感想書いてても思い出し笑いしそうにツボったのはデ・ニーロです。コントを説明する、ということについては一切その努力を放棄している私なので中身を詳しく説明しませんが、すごく短くまとめると「良い声で、なんか言う」ってコントです。「ジ・あ〜じ」と「ラ・北海道」の畳み掛けで思わず引き笑いが出た私だ(呼吸に笑いが追いつかない)。「めちゃ福岡」のハセもよかった。それから映画館のパパと息子のコントもスキだなー!坂田さんのお父さんがとにかく素晴らしい。「コックさん?」あたりで世界が広がっていくかと思いきやちゃんとパパと息子に帰ってくる構成もいい(し、コントとはいえちょっとぐっとくる)。

六角さんの猪木ショートプログラムも笑いました。笑いました。ソチでお馴染みになったあの八木さんの解説がこんな形で活用されようとは!そしてフリーになってからの実況と解説の困惑ぶりにも笑いました。ルビーの指輪2014のおかげでパルムが今猛烈に食べたいですし、坂田さんの収録終わりのコントはどこまでがドキュメンタリなんだろうと心配になってきてます。嘘です。あと大抵の小劇場の役者さんは「相棒」に1回は出てるよね。「相棒出てたら大したもんだよ〜!」

オープニングがシルエットからのズバーンと振り落としで、そのハッタリの効いた、かつスタイリッシュな演出もよかったし、最初に「テーマ再集結」のコントで微妙に現実とリンクしているようなしていないような、メンバー紹介なようなそうでないような、なコントで幕を開けてくれて、あれでこっちの緊張もほぐれたところがあったよなあと思います。

メンバーの中には舞台やテレビでずっと拝見している方もあれば、ジョビジョバの公演以来、という方も勿論いるわけだけど、でもやっぱり「集団での立ち位置」って独特だよね。普段はその役者さんなりの、正面から光が当たった姿を見てるんだけど、集団の中ではそれぞれの関係性によって横から光が当たったり、それによって思わぬ陰影が見えたりっていうところがあるんだなって改めて思いました。

最後のトークでマギーが「だから!?っていうようなコントでも、6人でやると通じ合えたりして、あのデニーロも、稽古の時に何にも言わず「そこデニーロのスマイルで」って言ったら全員が同じポーズをしたり」って嬉しそうに仰ってましたけど、ほんとやってる方もとっても楽しそうだったし(最後の「楽しいんでもう1本やります」からの関根、笑ったわあ)、観ているお客さんもあのせっまい客席でゲラゲラわらって、ほんと楽しかった、楽しかった、それに尽きます。

それぞれのコントには全体を繋ぐ細い糸のような物語があったんだけど、それがママさんコーラスの仲良し三人組がひょんなことから超能力を手にしてしまい、地球を襲うなんだかぼやあっとしたものと戦う、というもの。最後には、その三人組が助っ人として集めた三人も含めて六人でその敵を倒す、そして彼らは三々五々、別れを告げて去っていく…。

その別れのシーンは、どうやっても「今回集まった」6人と重ね合わせてしまうところがあって、それぞれがそれぞれにかける言葉に、思わずぐっときてしまったりしたのだけれど、それでこの感じ、劇団で、久しぶりで、地球を救って去っていく…この感じ、何かに似てると思ったら、あれです、東京サンシャインボーイズの15年ぶりの公演となったreturns。似てるから、どうだっていう話なんじゃないのよ。つまりね、なにかひとつの集団が、なにかをきっかけに道を違え、けれどまた再び同じ舞台に立つということはよ、地球の危機に再び集まるヒーローたちにしかなぞらえることができない、それぐらいのことなんだって思うんだよ。

だからまあ、つまり今回ジョビジョバは地球の危機を救いに来てくれたわけです。ありがとう!ありがとう!!いつか、また会う日まで!