「リレイヤーⅢ」  第三舞台

ある意味「伝説」の舞台の再演になりました。過去の公演でいずれも賛否両論まっぷたつ、初演については「失敗作」と言いきる人まで出たという・・・鴻上社主はリレイヤーはいつかやらなきゃいかんと思っていたらしく(まあアテにならんけど)、そういう意味では念願かなったことになりますね。キャストに大高・小須田・長野・京が帰ってきたほか、西牟田さんにあとは新人の皆さん。

この芝居は劇団内のドロドロを描いた物なのでどうしても今の第三舞台そのものと被らせてしまうところがあります。パンフにも第三舞台networkersと称して現メンバーの名前と現在の所属を書いていたあたり、創り手にももちろんそういう意識はあったんだろうなあと思う。

印象としては、冒頭のリレイヤーの独白も静かなラストの4人の語りも心に沈み込んでいくような力があって大好きなのだけど、だからといってすっごいもうこれ傑作だ!という感じでもない。でも決して駄作なんかじゃない。今まで評価が別れたのもわかる気がするなあ。ただ、今はまだわからないけど「噛めば噛むほど味のでてくる作品」にはなるような気がします。

「噛めば噛むほど味の出る作品」。まさに!!今や私の第三舞台作品ベスト3に食い込もうかというイキオイです。いやほんとこれ大好き。大好きというか、今見ると本当に苦しくて苦しくてたまらないぐらい苦しい作品だったんだなあと思わされる。この時はそれに気がついてなかったなあ。舞台の中で出てくる劇団が第三舞台と被るとは思ってましたが、それの表面的な意味しかわかってなかったっつーかねえ。ビデオも何回も見ていますが、ラストの京さんの泣き笑いの笑顔が本当に胸に刺さります。私は今第三舞台のビデオで勧めるとしたら、間違いなくこれですね。
追記:その後出版された鴻上さんの「ごあいさつ」解説により、実はリレイヤー、つまり故郷に帰ってきた男の役を筧利夫に演じて欲しかったとの記述アリ。
もう切腹