- シアタードラマシティ 23列2番
- 脚本 テネシー・ウィリアムズ 演出 蜷川幸雄
あらゆるところで「ほぼベストなキャスト」と高い評価が並んでいて、もちろんそれはその通りだったんですが・・・。「欲望という名の電車」は何回もありとあらゆるキャスト・演出で上演されていますが私は実は見るのは初めて。だからかもしれませんが、スタンとステラとブランチの(そしてミッチの)人間関係が、もっと見てるこっちの胃が痛くなるような、ギリギリの心理戦で描かれるのかなぁと勝手に想像していたので、その割にはうん・・・?という部分が正直ありました。
かといって役者さんの力量不足かっていうとそうではなくて、大竹さんも堤さんも圧倒的な存在感を見せてくれたし(ブランチのラストは凄いの一語)、堤さんは私が今まで見た中でもベストかも、と思えるぐらい格好良かった。六平さんも寺島しのぶさんもとてもよかったし・・・なんなんだろうなぁ。ただ、南部ニューオリンズの、気怠い暑さとうだるような熱気、その中で繰り広げられるギリギリのやりとり・・・そういった「空気感」っていうのがなんか欠けていたように思えてしまったんですね。見ているこっちまで息苦しくなるような「空気」がなかったっつーか。
オープニングの演出が非常に格好良く、私はその時点でかなりぞくぞくきてしまったんですが、その後堤さんが客席後方から登場するシーンで、客席全体がものすごくざわめいて、拍手も起きて。その時なんか一瞬「素」に戻ってしまったような(堤さんではなくて、劇場の空気が)気がしたんですね。まあ私が見た日だけかもしれないですが、後半のブランチのセリフで「え?それで笑う?」ってセリフで笑いが来たりして、そういうのも自分的には集中できなかった原因かなぁと。勝手な言い分なんですけども。
しかしブランチのラストのセリフ「ずっと見知らぬ方の親切に縋って参りましたの。」で締めるところはうわーーそうきたかーーーと。これは確かにインパクトあるなぁと。ブランチやりたいっていう人が後を絶たないのもわかるかな、と思いました。