「新・明暗」  二兎社

  • シアタートラム  K列6番
  • 原作 夏目漱石  作・演出 永井愛

特に何か大事件があるというわけでもない会話劇なのに、3時間全く退屈せずに見れる事がまずすごい。漱石の「明暗」は未読なのでどこからどこまでが原作にある部分なのか知らずに見ていたんですが、「言うのか、言わないのか」の展開も、オチの付け方も一本!という気がしました。

個人的には、由雄の旧友小林のセリフの回りくどさとかはもうちょっとスッキリさせて欲しかったということと、ラストに至る女側の心情ももうちょっとあった方がより面白かったのではと思ったりしますが、それを差し引いても、会話劇の中でも笑いのバランスとかテンポとか、飽きさせずに見せてくれて凄いなぁと。永井愛さんやっぱり要チェック物件だわ・・・←気付くの遅いんで

佐々木蔵之介さんはなんとも坊ちゃん体質な、甘甘なへなちょこを好演してらっしゃいました。個人的には大好きです。カッコつけてて自分のプライドは譲れない、だからこそ振られるなんて勘弁ならないなんて、現実にいたらヤだけど蔵様なら許す(笑)。お召し替えもなかなか激しかったですが、浴衣姿を拝めたのはなんとも目の保養。ええもん見させてもらいましただ。山本郁子さん、アキレス腱の怪我と言うことで若干足を引きずるシーンもありつつ、しかし延子のはきはきした感じも、清子の小首のかしげ方(笑)も、それぞれに違った味で熱演してらっしゃいました。延子の「あたしは裸で土俵の上にあがってんのよ!」ってセリフが妙に好き。小山萌子さんの変わりっぷりもすごかったなぁ。木野花さんもかなりはじけてらっしゃいましたね。私にしては珍しく女性陣がかなり気に入ったお芝居でした。