「新春浅草歌舞伎 第2部」

  • 浅草公会堂 1階く列19番

仮名手本忠臣蔵 五段目・六段目」
長年の習慣というか、歌舞伎を見るときでもどうしても物語重視で見てしまいがちな私なんですけども、傑作の誉れ高き忠臣蔵、これはもうどこから見てもさすがに段違いによくできている!と思いました。これは面白いよ・・・。六段目の緊迫感、構成のうまさなんかもすごいですけど、五段目の特に「二つ玉の場」の最小限の台詞で最大の効果、みたいなストイックな作りにうっとり。

第2部は勘平が勘太郎くん、おかるが七之助くん。勘太郎くん、前述の二つ玉の場みたいに動きで物語っていくところで確実に客を惹きつける力があるのがすごいなー、と思った。六段目では、縞の財布を見た瞬間のすっと顔色がおちるような感じとか、どんどん追いつめられてしまうところ、あとおかやに責め立てられているところに千崎たちが訪ねてくるところ!あそこの「しばらく・・・」はよかったなあ。なんだろ、武士としての最後の矜持、みたいなものがありましたね。切腹に至るまでの場面は、ほんと基本的に大熱演!という感じ。おかるに「女房待て」と呼びかけるところとかも熱かったなあ。もう少し芝居としても押しばっかりじゃなくて引きがあった方がイイのかな、と思いつつ。七之助くんのおかる、美しかったな〜。健気で。戸に縋って泣くところとか印象的。あと、門之助さんのお才もなにげに佇まいが抜群で好きでした。

話も面白かったし、なにより勘太郎くんが初めて「勘平」をやるところを見れたというのはよかったなあと思いました。


「蜘蛛絲梓弦」
亀治郎さんが六変化の早変わりを見せる舞踊。これまた面白かった!見た目にも華やかで楽しい。六変化のなかでも薬売りから番頭新造への早替わりがいちばんすごかった・・・客席全体が「えっ?(もう?)」という驚きに満ちた感じがありましたよ、花道から出てきたとき。でまた薬売りで花道を蜘蛛の糸を引きながら去っていくときの亀治郎さんのお顔が最高!最高!アクロバティックなものもなにげにあったりして見せ方に凝ってるなあと感心しきりでした。獅童さんと七くんはおいといて(ひどい!)、後半少しの出番ですが源頼光勘太郎くんも出ておりましてこれが・・・ちょっとどうしようかってぐらいツボでした。ほんとこの人動きが綺麗!亀治郎さんともっと絡みに絡みまくってほしかったよ!この一幕だけでももう一回見たい、と思うぐらい楽しかったです!