「鎌塚氏、すくい上げる」

「鎌塚氏、放り投げる」を見ているお友達に「おもしろかったよー」と勧められて観劇。三宅弘城さんが「完全なる執事」鎌塚アカシに扮するシリーズ。

豪華客船の中で執り行われる、お互い顔も知らない良家の子女のお見合い。自分の人生を選び取れないことに憤懣やるかたないお嬢さまの考えた策、それは女中と衣装を取り替えて、相手の真のココロのうちを計ろうとするものだった…!
って
どこのシェイクスピア!?
みたいな、ある意味王道中の王道の設定をどかんと真ん中に据えたコメディ。シリーズ2作目ということもあって、すでに安定感すら伺えそうな雰囲気もあり、安心して楽しめるお芝居でした。

エピソードが積み重ねられていくうちに、そんな両親ならこんなお見合いすすめやせんのじゃないか、とかも思いましたけども、鎌塚を初めとする「使用人」サイドのあれこれが基本的には物語を回していたと思うので、気になるというほどではなかったかな。

しかし、コメディというのは普通の芝居と違う筋肉が役者さんにも求められるよなーということを実感したり。やはり六角精児さんのうまさが群を抜くなあというのと、ナイロンでそのあたりの筋肉が究極に鍛えられている三宅さんは素晴らしい。それとは全く違う存在感で自分の投げたいボールを投げる、といったテイの広岡さんもさすがです。満島さんはちょっと声をやってしまっていたというのもあって前半がなる芝居が続くのがちょっとつらかった。でも、静かな台詞で自分の心情を託す、みたいなあたりはさすがですし、あの突然のパフォーマンスでの輝きとキレはちょっと忘れがたい。

私、田中圭さんを舞台で拝見したの初めてだとおもうんですけど、ああいった役を嫌みなく、たいそう魅力的に立ち上げることができるってほんっと素晴らしいと思いました!あんなにも自在に二の線と三の線をひらひらと舞い踊る役者、貴重ですよ…!映像でも引っ張りだこだろうけど、これからもどんどん舞台で拝見したいと思わせる役者さんでした。

この日の客席は終始ウケがよくて、どっかんどっかん笑いが起こっていたんですけど、個人的に三宅さんの「いらいらするわぁ〜」にあははははと大笑いしてしまったことをここに告白いたします。いやー、思い出しても笑える、アレ(笑)