「ローガン・ラッキー」


スティーブン・ソダーバーグ監督。チャニング・テイタムアダム・ドライヴァーダニエル・クレイグとキャストも豪華!

アメリカの片田舎でいかにも冴えない生活を送るローガン兄弟。兄はアメフトの花形選手(つまり学生時代ヒエラルキーのトップに君臨していたということだ)だったが、膝を壊して今はなかなか安定した仕事に就けない。弟は戦争に行き片腕を失ったが、義手で地元の店のバーテンダーとして働いている。地元では「ローガン家の呪い」と言われ、人生万事塞翁が馬、幸福と不幸は糾える縄のごとしを地で行く一家として有名。兄弟には美容師として働いている妹がいて、その妹には悪いことが起こらないように祈っている。あるとき、レース場の工事現場で働いていたローガン兄は、膝が悪いことを見とがめられ、「保険料がよけいにかかる」ことを理由に解雇されてしまう。工事現場でレース場のお金の流れを知った兄は、弟と一攫千金の計画を立てる。

やることは銀行強盗に近いのに、コン・ゲームのような装いがあって、おしゃれじゃないのに粋で、しかも登場人物みんなに「よいこと」を降らせてくれる展開で、でもスパイスも忘れない…って上手!上手か!と手を叩きたくなるうまさを堪能しました。いやーもともとコン・ゲームが大好きなので、最後の方はひや〜〜よくできてる〜〜と唸りっぱなし。

ジミーの娘がコンテストで、リアーナの「アンブレラ」を歌う予定だったけど、お父さんが来てくれたのを見てかれの好きな「カントリーロード」を歌うところ、あの声の細さと、かさなっていく歌声にぐっときたし、あの歌、よく考えたら1番の歌詞しかよく知らなかったんだな…と。このアメリカという巨大な国の田舎で安い酒を呷りながらなんとか日々をやっていっているひとたち、すなわちジミーやクライドの心情にこんなにも近い曲だったのかと思いましたし、あのシーンの切ない美しさがこの一種義賊めいた彼らの物語をぐっと締めてくれていたと思います。

盗みの最中の3人組のどことなく緊迫感のないやりとりもよかったです。グミで爆弾作るってわかってぶーたれるローガン兄弟に説教&解説かます(余裕か)ジョーとか、もどってきた爆弾受けとめちゃうクライドの表情とか笑ったな〜。あと花形レーサーでセバスチャン・スタンがキャスティングされてたんだけど、「優雅なトップアスリートの生活プロモ」みたいなあれこれに爆笑しましたね。

アダム・ドライヴァーが演じた弟のクライドがほんと、かわいいつーかなんつーか…かわいい…あの「まえに兄貴のカリフラワー!が出たときにはひどい目に遭った、けどベーコンを僕好みに焼いてくれたし、ひとりで計画立てるのたいへんだったよね、だから話を聞くよ」ってとこほんと好きにならずにいられないですよ。チャニング・テイタムはなにげに見る度に違うタイプの映画に出演しているような気がして、イメージが固定化されない、それってすごいことだよなーと思います。あとボンドを離れたダニエル・クレイグはめちゃイキイキとべらんめえな兄貴をやっていて楽しそうでした。こういう役もまた見てみたい。

囚人の立てこもり理由にゲーム・オブ・スローンズネタがあったりして、ああっ、早く見なきゃ…と思いながら未見の私。ぜったいはまる…っていうかハマる気しかしないのよね…。