In Excelsis Deo あるいは パ・ラパパンパンの思い出

これは後出しじゃんけんと言っていただいて差し支えないんですが、「パ・ラパパンパン」というタイトル、最初に見た時にピンとくるものがありました。これはリトル・ドラマー・ボーイのフレーズなのでは?

実際に観劇して、まさにそのリトル・ドラマー・ボーイのフレーズが歌われた時、やっぱりーー!!と心の中で拍手喝采

なぜこの字面だけで私がリトル・ドラマー・ボーイを連想したかというと、それは私が音楽に造詣が深いからではもちろんなく、ひとえにとあるドラマのエピソードゆえなのです。

ザ・ホワイトハウス」の第1シーズン第10話、原題"In Excelsis Deo"、邦題「聖なる日」。タイトルからおわかりの通り、クリスマスエピソードです。アメリカでの初放送は1999年12月15日。

アメリカ大統領側近のひとりであるトビー・ジーグラーはある朝、警察から一本の電話を受けとります。身元不明の遺体が着ていたコートから、あなたの名刺が出てきた。この人物に心当たりはないか。もちろんトビーには何の心当たりもない。警察に赴き、そのコートを見て、それが寄附したコートだということを思い出す。その中に彼の名刺が残っていたのだと。もちろんそれを着ていた男の身元を知るはずもない。それで終わりのはずだった。けれどトビーは、どうしてもそのコートを着ていた男のことを考えてしまう。

これが物語のはじまりです。脚本のアーロン・ソーキンは複数のエピソードを縦横無尽に、ものすごい勢いで組み上げていく人なので、それ以外にもたくさんの出来事がありますが、このエピソードの大きな軸は変わりません。

この"In Excelsis Deo"は、エミー賞の受賞数では他に並ぶもののない(Wikipediaをご覧あそばせ)「ザ・ホワイトハウス」にあって、傑作中の傑作エピとして名高く、その年の傑出したドラマエピソードに贈られるプライムタイムエミー賞を受賞しています。

そしてこのエピソードのクライマックスで歌われるのが「リトル・ドラマー・ボーイ」なんです。

エピソードの最後の5分間、台詞はほぼありません。少年合唱団によるリトル・ドラマー・ボーイが高らかに歌われるだけ。だからこそ、圧倒的に胸に迫るものがあります。

このエピソードを一度でも見たひとなら、最後に歌われるこのリトル・ドラマー・ボーイのことを忘れることは出来ないだろう、というほどに、素晴らしく、印象的な演出です。

今度の舞台のおかけで、パ・ラパパンパンの思い出がまたひとつ。