「ハムレット」

ハムレットなんてもうもちろん話知ってるし展開知ってるし、基本的に鬱陶しいことこの上ない話だ(と私は思う)し、休憩はさんで3時間の上演予定見たときには一瞬気が遠くなりかけたんですが。ただ単に植本さんと吉田鋼太郎さんが見たくて取ったチケットだったのでねえ・・・。

しかしそんな全くやる気のない観客(私だ)を3時間飽きさせず、舞台に引き込んでくれました。いやいや、面白かったですよ。私が見たハムレットの中では一番面白かったかもだ。大抵旅芸人の所か墓堀人夫のシーンで退屈でしょうがなくなるんだけど、旅芸人のシーンとかもの凄く楽しくてね〜。ところどころで歌が入るんだけど、最初は「3時間もある上にハムレットでしかも歌かよ!」と捨て鉢な気持ちになりかけたんですが(笑)、その歌がこれまた結構良くてね。振り付けがコンボイの舘形さんだったんだけど、動きの綺麗さも印象に残ってるなぁ。「ハムレット」の中で芝居を演じる旅芸人たちと、この「ハムレット」という芝居をやっている今の舞台そのものを構造的に重ねていて、ラストに芝居小屋に見立てたテントがたたまれていくとこなんかうまいなぁと思いました。

今回、ハムレット&ホレイショーを元宝塚の安寿ミラさんと旺なつきさん(ところでこれなんて読むの?)が、あとのキャストは全員男性がやったわけですが、ずいぶん前に青い鳥が男女逆でやった「ハムレット」を見たけど、いやいやさすが宝塚、本職は違いますわ。もちろん女性がやっているとわかるし「男に見える」訳でもないんですが、実の男より下手したら男らしくて参っちゃうねぇ。しかも基礎がきちんと出来ているからだろうと思うけど、声も所作もきっちり決まっていてさすがでした。個人的には旺なつきさんの声の良さにはうっとり。吉田鋼太郎さんはやはりというかクローディアスで、ほんっっっとうにうまい。あの感情の豊かさ激しさ、退屈なシェイクスピアのセリフが途端に活き活きと立ち上がってくるもんなぁ。オフィーリアは我らが植本さんで、これがもう・・・背筋が寒くなるほど可憐(笑)可愛すぎてコワイよ!んでまたこの舞台、舞台上で役者が衣装を変えたりするんだけど、さっきまで純情可憐だったオフィーリアが舞台の脇でカツラとったらいきなりスキンヘッド・・・なんてシュールな・・・。天宮良さんのガートルードも思った以上に良かったし、とにかく役者全員が達者で本当に素晴らしかったです。

私がハムレットで「面白かった」と思えるだけでもすごいよ、と思っていたら好評だったようでその後再演されました。
ちなみに「旺なつき」さんは「おう・なつき」と読むそうです。なるほど、そのままでしたか。