「インターステラー」


ノーランの新作!ってことで今年の目玉の1本として早くから名前があがってたんですけど、予告を見た時に「なんかアルマゲドン的なあれだったらちょっと好みじゃないかも…」つって尻込みしてたんざんす。でも先にご覧になった方がSF!ガチSF!と楽しんでらっしゃったので、マチソワで芝居を観た後に無理矢理レイトショーねじ込むという暴挙に出てしまいました。
バレというようなバレでもないけどまっさらな状態で映画を観たい方はこの先お気をつけて…

しかし観終わって思うけど、あの予告は映画の中身のことをほとんど何も言ってないようで、でも実際は「そういう映画」でもあるという点ですげえ巧みなのかもしれない。いや、もうちょっとSFギミックちら見せしたほうが観客の気は惹けると思うけどさ!だってTARSもCASEもちょうかわいい!!(そこか)

SF読むのはわりと好きだけど、熱心な読者というほどではないという私には、ストーリーラインに組み込まれている宇宙科学・物理学のあれやこれやはただ「なんとなく雰囲気だけつかむ」みたいな納得の仕方で見ていたんだけど、詳しい人であればあるほど楽しいんだろうなーと思った。

個人的にミラーの星を訪ねるまで・訪ねてからの展開がいちばんしびれたなー。ああいう世界はまさにSFでしか描けない。もうさー、そもそも「手紙」(この場合ビデオレターだけど)っていう、相手に届くまでに時差のある伝達手段ってそれだけで切なさを生むものなのに、それがあれだけ積み重なったらそらクーパーでなくても泣きます、泣きますって。

これ、マン博士をやっているのがマット・デイモンで、でも予告には全然出てこないし、出てるって知らなかったのでびっくりしました。でもあれだね、マン博士すごく重要な役だけど、これをマット・デイモンがやるってわかったら「どの星を選択するか?」の過程がうすっぺらくなっちゃうもんね。だってマット・デイモンのやる役出さないわけないじゃん。ポスターにも名前がないのはそういう意味もあるんだろうなー。3人の話し合いでのアメリアの「愛には意味があるだろう」って説得が、最後にちゃんとクーパーにも返ってくるとこ、すごく好きです。でもって、マン博士の大義こそが重要であり、個人の私利私欲は結局のところそれだけのものだ、という理論が、「隣人をも救えない人間に人類が救えるわけがない」というような信念に打ち破られていくのも見応えがありました。

死の星になりつつある地球で、保護者面談でクーパーと学校の先生が「アポロ計画は政府のデマだった」という話でぶつかるんだけど、この「アメリカ」というものにぴったりと寄り添っている開拓者精神、フロンティアスピリッツというやつの根強さを思い知った映画でもあったなあ。

しかし宇宙ものは「ゼロ・グラビティ」もそうだったけど、まさになにげないアクションが死に直結していたりするので緊張感がハンパない。長尺の映画だけど見ている間はまったく気になりませんでしたが、見終わったあとの「どっときた」感は異常(笑)。いやー濃密だった!