「12人のおかしな大阪人」  G2プロデュース

もともとの、「12人の怒れる男」は私の大好きな映画のひとつだけど、舞台が陪審員室からから動かないだけあってよく舞台化されてます。中でもあの三谷さんの「12人の優しい日本人」は白眉だけど、この作品もそれに勝るとも劣らないと思う。

関西小劇場のスターを集めたキャストで、MOTHERの升さん、そとばの生瀬さん、リリパのわかぎえふさん、M.O.Pの三上さんなどなど、それはそれは豪華な顔ぶれ。みなさんほんまもんの関西人だけあって関西弁はめちゃめちゃナチュラルやし(当たり前か)、もう関西人にしかわからないボケ・ツッコミ講座とか、そこら中で展開される笑いの嵐にはマジで涙出るほど爆笑しました。みなさんさすがに看板役者だけあって、ウマイうえに華がある。中でも、小学生(!)の男の子(!!)をやったわかぎえふさんが出色!!何がすごいって、どっから見てもほんまもんの小学生にしか見えへんところが凄いわ。ラスト近くに、「おっさん!さっき数は問題やない、誰がどういう考えなんかが大切なんやってゆうたやろ!黙って聞けや!!」と一喝するところなんかもーーーー、シビれたわ。

ラストは、「禿鷲と少女」という写真でピュリッツァー賞を受賞した後世間の非難を一斉に浴び、そのせいなのか先頃自殺してしまったカメラマンの話を、審理にかかっている殺人容疑の女性の心情になぞらえてこちらの気持ちをぐっと締めるあたり脚本としても一級品。舞台装置は丸テーブルに12人分の椅子のみというシンプルなものだったけど、ラスト、丸テーブルにおかれた写真をお揃い(白と青)のスプリングコートを着て全員が覗き込む演出が実に良かった。是非、次は新感線の役者さんも入れて再演して欲しいなあ。笑うだけ笑わせて、ラスト泣かせる私好みの芝居でした。

いまやドル箱?のG2プロデュース第1回(確か)。演出が生瀬さんだったんだねえ。G2のやつは大抵ビデオになったりしているのにこれだけは映像ないんだよな。そとばから生瀬さん・山西さん・みやさん、M.O.Pからキムラさんと三上さん、リリパからコングさんとわかぎさん、MOTHERから升さんと牧野さんと佐々木さん、川下さんに蟷螂さんと、まさに踏んでも叩いても消えない関西個性派集団の重鎮揃い(笑)新感線から出ていないのはちょうど「星の忍者」と重なってしまったからだと思うんですが。
ちなみに震災直後で、もともとチケットを取っていた日に仕事の都合で行けなくなってしまい、頑張って後日当日券で見たんですよね。震災のチャリティーにキャスト全員のサイン色紙を売っていたのも覚えています。