「デジャ・ヴュ01〜伊集院警部補の憂鬱〜」RUPプロデュース

東京公演中から「意外といい」という劇評が多かったのでおお?やるじゃんなどと思っておりまして。で、その中でもすごく評判の良かったのが河原総代で、河原さんほとんど主役だったって声が多かったんですけれども。あたし、これを「本当の主役はアツヒロ君なんだけれども、河原さんがそれをかっさらうぐらいに良かった」て意味だと思ってたのね。そんで観て、思ったことは「主役って・・・本当に主役だったのね」(笑)

芝居の出来不出来とは関係ないけどまずどうしても言いたいのは副題の「伊集院警部補の憂鬱」ってのはやめろと。そりゃ偽りありだろと。だってデジャ・ヴュそのままじゃないですか。あんな副題ついてたらそりゃ伊集院主役だと思うだろうよ。劇の構造から全部変えてると思うだろうよ。河原さん主役って、当たり前じゃん秋田なんだから。デジャ・ヴュの主役は秋田だろ。っていうか、秋田・北林・伊集院の3人が核なんじゃないの、この芝居の。じゃあなんであんな副題つけたのかっつーとアツヒロ君のやる伊集院をタイトルロールにして客を呼ぼうっていう、それぐらいしか理由が考えられないんですがどうなんですかRUPさん。別に有名なタレントを入れて客をたくさん呼びたいと思うのはいい。ちなみにあたしはアツヒロ君嫌いじゃない。つか、むしろ好きだ。でも嘘はいかんだろ!!っていうかせっかくここまで異色なキャスト揃えたんだから、もっともっと変えて欲しかったよ。鴻上さんのデジャ・ヴュの匂いが消えるぐらいまで変えて欲しかったなぁぁぁぁ。じゃないと今やる意味ないと思うんだけど。戸田山さんの脚本が悪いというわけではないですが(むしろうまく変えてるとは思う)、でもやっぱりちょっと違う気がするわ、こういうのって。

でまあ肝心の芝居の方はどうだったかというとこれはホント「意外といい」という感じでした(笑)。戸田山さんは鴻上戯曲の一番わかりにくいところをすごくかみ砕いて下さったような感じで、戯曲読んでるときよりわかりやすかった。つっても、まあ難解には違いないんですが。河原さんは良かったわ〜〜。ホント、評判いいのわかるわ。カッコイイしねぇ。面白いし。申し合わせたように劇評に名前が挙がってこない北林役の菊地さんも私は結構好き。小須田さんのイメージとはちょっと違うけど、以前板垣さんがやったデジャ・ヴュ(90年)の渡辺いっけいさんとテイストが似てるかなと。最後、秋田の首を絞めてそのあといとおしそうに抱き寄せるとことかちょっとぞくっとしたよ。で、これまた申し合わせたように劇評に名前の挙がる長塚圭史さん。なにしろ、私がこれを見ようと思ったのは長塚さんを観たい一心でしたから。いやーーお父さんに声クリソツ!で、背たかっ!!足ほそっ!好きだーーーーー!!好きです。タイプです。バトロワのパロディのシーン最高です。っていうかなぜ阿佐ヶ谷スパイダース大阪来てくれないんですか!(←関係ない)

アツヒロ君はねぇ・・・うーん。この役はちょっと向いてなさ過ぎだと思うなぁ。っていうかこのキャストで伊集院やるとしたらもうそれは河原さんしかいないだろと思うんですけど。「女にいるのは、穴だけよ!」なんてセリフ言ってやらしくなくしかも憎めないって、それは総代でしょう。アツヒロ君のファン音立てて引いてたし(しかも本人にも若干の照れあり)。ちょっと辛かったですねぇ、この役は。後は女優陣なんですけど、あたしは基本的にデジャ・ヴュは男の芝居だと思っているので(大高さんがデジャ・ヴュを「男と男が道で肩ぶつかって『なんだオマエ』っていう、そういう芝居」と言っててなるほどー!と目から鱗が落ちた記憶がある)まあ、あんまり印象にないかなぁ。時不二子のあの長ゼリフがそのまま残ってたのでそれもびっくりしたんだけど。3人とも可もなく不可もなくという感じでしょうか。

そういえば'86版のデジャ・ヴュで鴻上さんがこれでもか!と使っていた「星の時計のLiddel」からの引用はさすがになくなってましたね(笑)

RUPはこの頃から「そんな昔の作品引っぱり出してきて何がしたいんだ」状態が続く(笑)