「キレイ」

  • シアターBRAVA! 2階B列41番
  • 作・演出 松尾スズキ

初演はね、大阪公演がなくて。だから近小でやった、「舞台中継」を見に行ったんだよなあ*1。生で観れなかった、という思いがあるからか、この作品のDVDもCDもかなりヘビロテしていて、初演のキャストが染みついてしまっているわけで、でもやっと生で観れる!という喜びも大きく。

最初の「ケガレのテーマ」が流れてきたときにその感傷のあまりすでに涙ぐんでしまいそうになりましたが、この作品やっぱりいつもの松尾さんのテイストよりちょっとライトにつくってあるような感じで、これぐらいの方が私はぴったりくるなあと見ながら思いました。1幕の最後のカスミがやっぱりすごく大好きなんだけど、その後がなんだか中途半端に歌になっていたので涙が引っ込んだ(笑)。あれ、やっぱりここは台詞で感動させすぎずミュージカルっぽく終わるのじゃ!っていうことなのかな?あそこだけすっごく「正当派ミュージカル真似」って感じで絵面がおかしかったんだけど、こっちは感動モードになっちゃってるのでどうにもこうにも。

2幕でケガレがハリコナと狂い踊りをしながら「未来のあたしは儲けているかな」というところ、そこでミサが「安心しなさい。儲けているわ」と返すシーン。すごく良かった。ここだけでなく、ケガレとミサが時間を超えて会話するシーンはどれもこれも良かったなあ。そして地下室から出ていこうとするケガレと、戻っていくミサが交錯するシーン。地下室から漏れる光と、地上から射し込む光が二人を照らすところがどうにも好きで、こういう終わりのない構造を舞台で見せられるのに非常に弱いんだなあと改めて自覚しました。

キャスト変更あったとはいえ、私の中では秋山カスミと阿部ハリコナが続投であればもうほかは贅沢言いません、という心境であったので(本当は宮藤ジュッテンもだったけどそれは見たら意見が変わった)殆ど違和感なく観れました。続投ウェルカム!な秋山菜津子さんのカスミは5年経ってもその素晴らしさ変わらず。「海老痛」「ここにいないあなたが好き」はどちらもほんと名曲!「ここにいない〜」のダンスは今回のも格好良かった〜。

阿部ハリコナ、大浦ジュッテンのコンビは、これはこれで可愛さ満点で良し!大浦ジュッテンは宮藤さんのにくらべて朴訥でほんと気のいい兄ちゃん風味でした。ハリコナの可愛さはこれまた5年経ってもすこしも色褪せることなく、まじで身悶えだえ。くっそーかわいいなー、なんでこんなにかわいいんだちくしょおお!

古田さんからじゅんさんにコンバートでえ、ダイズ丸は新感線枠なの?と思いましたがやっぱりこの二人では出てくるキャラも相当違って興味深かったですねえ。じゅんさんのダイズ丸のほうが、「こうなったらなにをやっても生き延びてやる」なある種いやらしさがあって新鮮でした。

でもって今回ハリコナBになった岡本健一くん!個人的には篠井さんのハリコナBより断然好きです!阿部さんのハリコナと地続き感があるのも良いし、賢くなってたらゲイになっていた、というのも意外性があるのでいちいちリアクションがおかしい。「ガッカリして、もう、女装!」とか清々しくも中途半端で爆笑でしたよ。歌も踊りも、やはりきちんとどこかで学んできているというのはこういう舞台では大きな武器だなあとも思いました。
ジュッテンからマジシャンへ役が変わった宮藤さんもすごくよかった。やっぱりこの人役者としてすごい人だわ、と改めて認識しました。マジシャン、いい役じゃん・・・。なんだか最後哀しかったよ。そういえば初演と同じ役なのにまるで違う人みたいだった皆川さんのカウボーイはすごかったな。あれもう別人じゃないですか!

今回、2週間前に主役降板というハプニングがあって急遽代役に立った鈴木蘭々さん。最初のカネコ組とのやりとりの時、ちょっとイメージじゃないなあと思うところがあったんだけど(なんというか、幼すぎて)後半、とくに2幕がすごく良かったです。歌がうまいことは以前舞台を拝見していたので不安はなかったし、最後の歌は本当に魂が入っていてよかった。歌い終わった後の笑顔が最高キュートでしたよん。

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