ネアンデルタール人の話をした

NYLON100℃ 27th session「消失」のDVDがここのところの夜のBGMなんですが、これ生の舞台も勿論すごくよかったんだけどDVDでなんかもう一度その良さを反芻している感じです。いやーいい舞台だった。

で、舞台がいいのは当然として、例によって副音声メモ書きみたいなことをやろうかなって思ったんだけど、文字にしちゃうと面白さが伝わらないんじゃないか?というようなみのすけさんと三宅さんの自由奔放なエピソードあれこれがほぼ7割を占める(笑)という感じなんでこれはぜひ聞いていただくのをオススメします。ちょっとだけ感想書くとすると大倉さんと八嶋さんの漏れ伝わる仲の良さとか犬ちゃんのかわゆさが犯罪的だとか、そういう感じです(どんな感じだ)。

私舞台のDVDを割と躊躇なくガシガシ買う方ですけど、よくついてくる特典映像、ってやつはさらっと流して終わり、みたいなことが多いんですが、それはその多くが「撮ってあるのとりあえず出しました」という風情のものが多いからだと思う。舞台裏とか稽古場風景とか、もちろんそれはそれで大変楽しいんですけどね。

ところが、ここからが本題なんですけど、この「消失」の特典映像DISC約1時間、これが素晴らしい。ちゃんと一個の作品なんですよ。舞台を創り上げるってことはこういうことなんですよ、というのがすごくよくわかる。

よく、あまり舞台を見ない人の感想で「あんなに台詞を覚えられるなんて凄い、感動した」というのを耳にすることがあって、それはもちろんそれに感動しちゃいけないってことはないが、ただそれはコンサートに行って「よくそんなに暗譜できますね」というのと同じでありダンスの公演を見て「よくそんな振付覚えられますね」というのと同じことで、多分感動された方はあまり嬉しくはないと思う。

じゃあ何が大変なのか?というのが、この特典映像のDISCを見ると垣間見えるんではないかなあ。

舞台装置、照明、衣装、小道具、だんだん出来上がっていく稽古場、映像、効果、気の遠くなるような手作業が積み重なって初日、本番という一点に向かって収束していき、その初日の風景でこの映像は終わります。WHITE CHIRISTMASをBGMに大倉、みのすけの順で舞台袖につく。客電が落ち、初日の舞台が始まる。繰り返し繰り返し稽古していた場面が、まるでいつもの日常の会話のようにさりげなく通り過ぎていく。セットの上に据え付けられたと思しきカメラが、出入り口となっている袖の役者を映し出す。それは私たちが見たことのない顔だ。大きくなるWHITE CHIRSTMASの音楽と、舞台の場面と稽古場での場面がオーバーラップしていく光景に、私は舞台の特典映像、というものを見て初めて泣きました。

「消失:the disappearance」という舞台が「the appearance:出現」するまでを描く、一本の非常に優れたドキュメンタリーだと思います。

すごく立派なブックレットがついていたりカバーの所にケラさんのコメントがあったり、商品としてちゃんとしているなあ、という感じがあって、演劇のDVDでは実は結構珍しいかもしれないです。ともあれ、機会のある方は是非一度手に取っていただくことをおすすめします。