せっかくの休日前ということで、読書。
- 作者: 津村記久子
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: 単行本
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基本的に、小説の会話で関西弁を使われるのが好きではないのですが、この方の書きぶりには「関西弁やでぇ!」みたいな自己主張がないところがいい。
小説自体もその文体にも、どこか潔癖、ともいえるようなきりりとした清潔さがあって、とても読みやすかったです。「確信的に生きている女の子たち」からこぼれてしまうもの同士の連帯、男性からの無意識の抑圧に対する潔癖な反応を押しつけがましくなく描いているなあと。タイトルにもあるように、主人公アザミの背骨となるのは「音楽」で、その偏執狂的なのめり込みぶりは、なんでも掘り下げないではいられない「掘り下げむすめ」のひとりである自分にもけっして他人事ではなく、自分の趣味の話をするときの注意深さなどは共感せざるを得ない、というリアルさがありました。
世の中には、趣味的なものも他者も一緒に手にできる幸運な人がいて、その序列は両方手にできる人、他者を持っている人、趣味的なものしかない人の順で決まっている、などというくだりはあー、ねー、と思ってしまったりもし。
高校生の、傷つきやすくてめんどくさくて、大胆なのに臆病な彼らが、一瞬お互いのこころに届く言葉を投げかける終盤のいくつかのシーンがとてもよかったです。
しかし、この作者はタイトルをつけるのがうまいですね。そそられるタイトルばかりだものなあ。「君は永遠にそいつらより若い」とか「アレグリアとは仕事はできない」とか。また機会を見つけて読んでみたいです。