「東京月光魔曲」

昭和初期の「花の都東京」を舞台にしたある種サスペンス。劇中の台詞でもあったけれど、狭い路地裏をのぞき込むようなスリリングさがあるので3時間半という長丁場でしたが(いやもう慣れたけど)だれずに最後まで楽しめました。いつも思うけど、ケラさんの群像劇は独特というか、ひとつひとつのシークエンスはどこか細い糸で繋がっていて、普通はそれが交錯していくものだけれど、交わらないところは決して交わらない、交わったとしても、登場人物はそれと自覚しない、みたいな作り方が多いですよね。

個人的に印象に残ったのは山崎さんと松雪さんの「人生はいろいろある」と語るシーン、探偵の謎解き、そしてユースケ&長谷川兄弟の別れのシーンかな。あの二人はなんとなく後日談がありそうですよね。

廻り舞台をこれでもか!と活かしたセットで、高さもあって、あーコクーンサイズだな〜!とそのあたりでも思いました。最近のケラさんワークスの中では映像使いはすくなかった方だと思います。

それほど長くない出番でもきちんとキャラが印象づけられる役が多かったのも楽しく見られた原因かなと思います。犬山&大倉&橋本トリオのとことかかわいかったなーみんな。主演姉弟の群を抜いた美しさ!しかしこの姉弟、カメレオンズ・リップをちょっと思い出してしまったり。ユースケさんと長谷川さんの兄弟もよかった。っていうか、ユースケさん最後に相当持っていった感があったなあ。

しかし、瑛太くんはホントに声がいい。そして、最初の歌のシーンで思ったけど、この人どこかレトロなんですよ、雰囲気とか声とか。それがこの時代背景にずっぱまりだった気がする。あと、瑛太くんと一緒に牡丹灯籠にも出ていた伊藤蘭さん、やっぱいい!これ絶対もっと引っ張りだこになる予感。あの年代の舞台女優さんでこれだけ独特の艶っぽさ(または毒っぽさ)を醸し出してくれるひとってそうそういないとおもう。さとしさんもあの文士姿がすごく似合っていてかっくいかったな〜。大倉さん、犬山さん、そして山崎さんはもはやケラ脚本においては鉄板。あと赤堀さんのああいう役も鉄板になりつつあるのかしら(笑)