「悪童日記」


原作を読んでいないので、観終わったあとの「ずどーん」感がハンパなかったです。いやすげえ…ここまで容赦!ないか!とうなだれました。ずっと細い線の上を歩くような(まさに地雷原をいくかのごとく)緊張感が続くので、わたし基本的にCSIとかクリマイとか見ながらガツガツ肉が食える人間なので即物的な恐怖には耐えられるんですけど、この「何が起きるかわかってるのにそれを見なくちゃいけない」って緊張感のほうが全然、ダメです!もう、許してくれ!と言いたくなったよね…(特にラスト)。

それは勿論見ていてつまんなかったとか面白くなかったとか、そういう感想とは真逆の位置にあって、すっごく面白い、いや面白いって言葉が適切かどうかわかんないけど、濃密な時間を過ごせた満足度は高いです。

すべてを両親から与えられていた双子が、生きていくために与えられたすべてをひとつひとつ確実に削ぎ落としていくさまがものすごく丁寧に描かれていて、その描写がどこか淡々としているがゆえに、実際に彼らがそのすべてを削ぎ落とし、もはや彼らにとっては肉親との別れは別れですらなくなっているところに辿り着いていることに気付かされて愕然とさせられます。どうして、という問いはまさにむなしいばかりで、そうしなければ生きていけなかったからなのだということが、見ているものには痛いほどに伝わっているんですよね。

あの日記の描写もよかったな。戦争の断片だけが見え隠れする現実の世界と、あのコラージュに満ちた日記といい対比になっていたなあと思います。双子のキャスティングのすばらしさは言わずもがな。しかしまあホント、ずどーんときた映画でした…!