「X-MEN:ダーク・フェニックス」

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ファーストジェネレーション、フューチャー&パスト、アポカリプスと続いた現行X-MENシリーズが本作をもっていったんのピリオド。監督・脚本はサイモン・キンバーグ。

シリーズの最終作にしてはコンパクトな作品で、コンパクトだけど濃密かっていうとそうとも言えない…みたいなところがちと残念でした。ファーストジェネレーションから続投しているキャストの豪華さ、その彼らの場を持たせる力があれだけ集結しても、やっぱり土台となる脚本に強度がないとつらみがある。

今までのシリーズでは見られなかった組み合わせやコンビネーション、それぞれの能力の見せ方とかも新しさのあるシーンもあって、そこは楽しかったです。特にエリックは何しろ能力がチートすぎてスタジアムを浮かせるとか地軸をどうにかするとか大振りな方向での絵が多かったけど(そっちの方が劇画的に映えるといえば確かにそうだよね)、今回は近接戦闘というか、目の前の敵ひとりひとりを倒す、に集約された動きでかつ演じてるマイケル・ファスベンダーのスタイリッシュさも相俟ってカッコよさが天元突破してた。

しかし、登場人物がとるそれぞれの行動、アクションが連鎖していかないというか、ぶつ切り感がすごくて、そうなると物語が有機的な流れを維持できず、なんとなく最後「お、おう…そこに着地するか…」という感じで終幕になってしまったんだよなー。チャールズは中でもワリを食った感が強い。救出作戦の強行もそうだし、ジーンの説得を巡るやりとりもそうだし、レイヴンを喪ったあとのハンクとのやりとりもそうだし、そのハンクも「非を認めろ」と迫って、認めないから出てってエリックの所へ行って(しかしエリックがどれだけ情報網を持ってても、その情報網にチャールズならアクセスできるんでは)、探し出して殺すっていうエリックの言に首肯してるのに、そこからの共闘へ至る心理もよくわかんないし。というかそもそもレイヴンの死はあれしかなかったのかっていう。いやジェニファー・ローレンスのスケジュールおさえるの難しかったのかなとかメタなことも思いますけど、もっとやりようが…あったのでは…となりますよね。

エリックは前回のアポカリプスも、言ったらその前のフューチャー&パストも、隠居(幽閉)から引っ張り出されるってパターンが続いてて、しかも前回も今回もその翻意に至る流れがよくわからない。いったんは敵対させよう!でも最後は共闘させよう!っていう構図にするために便利に使われすぎな気がしてしまう。エリックとチャールズってやっぱり特別なケミストリーのあるふたりだし、その力学を劇中でまったく使わないのに、最後はチェス持って「今度は俺の番」て、そういうエリック側からの能動的なアクションを本編で見せてからの連携であってほしかったっす。

そして主役はジーンなのに、ジーンのキャラクターのエッジが立ってないつーか、力の強大さに振り回されるのはともかく、それをコントロールできるようになる流れがやっぱり唐突に感じてしまった。そしてピーターくん…マジか…ってなったし、いやクイックシルバーのアクションは撮影にお金がかかる…んだろうけども…いやしかし…っていうモヤモヤが。カートくんは能力フル発揮でむっちゃ活躍してたね。ナイトクローラーかっこいい。

あとやっぱりヴィランの存在がもやあっとしたままだったのも物語の牽引力が低い要因ではあるよな~。いい悪役は物語を輝かせる。

人間とミュータントとの共存または対立というのをシリーズ通して描いてきたけれど、この作品には記号としての人間しかいないつーか、ミュータント役に立つ=応援する!、ミュータントが逆らった=排除しよ!なリアクションが記号的に書かれるだけなのもちと残念な点でした。X-MENは将来的にはMCUに合流するという話がありますが、いやー今はまだ全然想像つかない。怖いような!楽しみなような!